既存のメタゲノムショットガンライブラリー(南海トラフ熊野灘海底下コア試料由来と外洋の南太平洋環流海底下コア試料由来)を用いた実験から、本研究で対象としたD-アミノ酸、希少糖に対する陽性クローンだけではなく、ニッケルやガリウムなどのレアメタルに対する陽性クローンなどについても、その挿入遺伝子断片が殆どの場合500bp以下と短いことが明らかになった。オペロンの形態を含むより長い応答遺伝子断片を得ることで基質応答メカニズムの考察がし易くなると考え、本年度はメタゲノムショットガンライブラリー作製時の条件検討(ブラッシュアップ)を行った。まず、挿入遺伝子断片のサイズセレクションについて、これまではゲル切り出し法により行っていたが、今回は磁気ビーズ法を用いることで課題であった低分子DNAを効率的に除くことに成功した。この時、数社の磁気ビーズキットの比較をした。また、今回Gatewayテクノロジーを用いてメタゲノムショットガンライブラリーを構築することにしたが、用いるデスティネーションベクターをインバースPCRにより直鎖状にした上でエントリークローンとクロナーゼ反応を行うことで、効率的に挿入断片未挿入クローンを除けることがわかった。更にインバースPCRにより挿入遺伝子断片上流のlacプロモーターを削ることでバックグランドの蛍光を顕著に減少させることが出来ることがわかった。今回のこれらのブラッシュアップにより、今後作製予定のメタゲノムショットガンライブラリーのクオリティーは劇的に向上することが期待される。
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