研究課題/領域番号 |
15K18688
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
仲野 千秋 新潟大学, 自然科学系, 助教 (70620376)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | テルペン / メロテルペノイド / 融合型テルペン / 生合成 |
研究実績の概要 |
BE-40644 (1) は放線菌Actinoplanes sp. A40644から単離された抗腫瘍活性、抗HIV活性を有するメロテルペノイドである。本研究は、1の生合成を担うテルペン環化酵素の同定および生合成経路の解明に取り組んだ。テルペン環化酵素と予想されるORF15の機能を解明するため、1の生合成遺伝子群からorf15を欠損させたpIJ6021-BEΔ15とORF15の推定活性部位であるD185をAlaに置換したpIJ6021-BE(ORF15-D185A)を作成した。Streptomyces lividansに形質転換し、培養抽出物を解析したが、特異的な生成物は見出されなかった。また、プレニルトランスフェラーゼであるORF14を欠損させたpIJ6021-BEΔ14を作成した。S. lividansに形質転換し、培養抽出物を解析したが、特異的な生成物は見出されなかった。 また、新規融合型テルペンの発見を目指し、結核菌由来のテルペン-アデノシン融合化合物1-tuberculosinyladenosineの生合成を担うジテルペン環化酵素Rv3377cとアデノシン転移酵素Rv3378cのホモログである、Herpetosiphon aurantiacus由来のHaur_2145とHaur_2146の機能解析に取り組んだ。Haur_2145はGGPPからkolavenyl diphosphateを合成する新規ジテルペン環化酵素であったことから、詳細な機能解析を行った。変異酵素を作成し、E125が基質GGPPの二リン酸との結合を担い、S355とR359が水素結合を介して環化開始のプロトン付加を促進することを示唆する結果を得た。また、GGPPの重水素ラベル体を用いて詳細な環化機構を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
BE-40644はorf15欠損株、orf15変異株、orf14欠損株から特異的な代謝産物が得られなかった。Herpetosiphon aurantiacus由来のHaur_2145の機能解析は順調に進んでいるが、BE-40644の結果から総合的にやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
BE-40644についてはorf欠損株を用いた相補実験を行い、BE-40644の生産の有無を検討する。また、他の生合成遺伝子の欠損株を作成し、生合成経路の解明を進める。 Herpetosiphon aurantiacus由来のHaur_2145は酵素化学的諸性質を決定する。また、Haur_2146のin vivoおよびin vitro解析を行い、新規融合型テルペンの発見を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
BE-40644生合成遺伝子クラスターの遺伝子破壊株から特異的な生成物が生産されなかった。そのため大量培養実験ができず、培養に必要なバイオシェーカーを購入しなかったため繰越し金が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度では、計画していた実験、旅費、学術論文発表の経費に加え、バイオシェーカーなど研究遂行に必要な機器を今年度の繰越し金を活用して購入していく予定である。
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