研究課題
植物香気成分として知られるフェニルプロペン類は、ベンゼン環(C6)に直鎖状プロペン(C3)が結合したC6-C3を基本骨格とする化合物群である。これらフェニルプロペン類は、プロペン側鎖の立体構造とベンゼン環の置換基の2点の組合せにより化学構造の多様性が見られる。そして、これら化学構造のわずかな違いにより生理活性や香気特性が異なることが知られている。例えば、バジル主要香気成分の一つであるオイゲノールはフェノール性水酸基がプレニル化されると、修飾される前の母核構造には見られない抗虫活性を示すことが明らかになっている。その一方で、化学構造の多様性を規定する生合成酵素の単離ならびにその反応機構についての報告は未だ数少ない。そこで本研究では、ベンゼン環(C6)部分をプレニル化およびメチレンジオキシ環化する従前未解明の酵素の単離、機能解析を行うこととした。現在までに、非揮発性の芳香族化合物であるリグナンやアルカロイドを基質とするメチレンジオキシ環化酵素やフラボノイドなどのポリフェノールをプレニル化する酵素は、いくつか報告されている。本研究では、これら報告のある酵素遺伝子と相同性が高く、芳香族香気成分であるフェニルプロペン類を多く生成する組織に高発現している候補遺伝子の絞り込みを行った。H29年度においては、プレニル基やメチレンジオキシ環を有するフェニルプロペン類を生成するシキミ(Illicium anisatum)やディル(Anethum graveolens)からRNA を単離し、次世代シーケンス解析による候補遺伝子の探索、RACE-PCRによる全長候補遺伝子の取得を行った。さらに、候補遺伝子の酵素機能を解析するため、酵母発現系を用いた組換え酵素の発現ならびに代謝物変換解析を行った。
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