研究課題
農学と医薬学の境界領域に位置する食品機能科学は、ポリフェノール等の食品由来生理活性因子が生体リズムの調節を担う低分子化学物質の本体であるとし、生活習慣病予防またはリスク低減を目指した研究分野として発展してきた。第二相薬物代謝反応におけるフェノール性化合物の硫酸化抱合は、通常不活性化に寄与することと考えられている。近年、食品や薬剤摂取後に体内で生じる代謝物(メタボライト)が直接要因となり体調調節機能を発現しうる可能性が提唱されつつあるものの、未だ不明な部分も多く残る。本研究は主に硫酸化代謝物に着目し、フェノール性化合物の「メタボライト」の生理機能を検証することを最終目的とする。2017年度には、1-naphthol (1-Nap)と2-naphthol (2-Nap)およびこれらの硫酸化代謝物の1-naphthyl sulfate (1-NapS)と2-naphthyl sulfate (2-NapS)を硫酸化前後のモデル化合物として使用し、これらのフリーラジカル消去作用について既存の手法を用いて比較検証を試みた。得られたEC50値をもとに抗酸化力を比較した結果、1-NapSでは1-Napよりも6.73-7.35倍の低い活性が得られた。その反面、2-NapSは2-Napと同等の活性を示すことを見出した。これらの結果より、Nap異性体の硫酸化抱合が常に抗酸化活性を軽減させる訳ではなく、その活性は硫酸化される部位に依存しうるということが明らかになった。
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J Toxicol Sci
巻: 43 ページ: 213-221
DOI: 10.2131/jts.43.213