研究課題
昨年に引き続き食物アレルギーや花粉症といったI型アレルギー炎症誘導において中心的な役割を果たすマスト細胞に焦点を当て、①アレルギー関連遺伝子の発現制御機構の解明および②食品成分による制御機構の解明に取り組んだ。①アレルギー関連遺伝子の発現制御機構は、昨年に引き続きIL-33の受容体であるST2、粘膜型マスト細胞に特異的に発現するプロテアーゼ(MCPT-1, -2)、シグナル分子であるSykの発現制御機構を分子生物学的手法を用いて解析した。また、我々が着目している転写因子 PU.1、GATA1、GATA2により発現が制御される遺伝子をDNAマイクロアレイにより網羅的に解析し、それぞれの転写因子により制御される遺伝子群をグループに分けた。その中で、PU.1により正にGATA2により負に制御される遺伝子として腸管などの粘膜組織に局在するマスト細胞が発現するCD103が見出された。②食品成分によるアレルギー関連遺伝子の発現制御機構は、昨年度、高親和性IgE受容体(FcεRI)発現を指標にスクリーニングを行い、発現を抑制する物質として見出された食品成分についてメカニズム解析を行った。Tannic acid(TA)は、マスト細胞上のFcεRI発現をコントロールと比較して80%以上抑制した。FcεRIの構成遺伝子とその発現に関わる転写因子群のmRNA量を測定したところ、TAはFcεRI-α, -β, γ鎖およびGATA2のmRNA発現を抑制した。さらに、IgE/抗原刺激による脱顆粒応答もTA処理により顕著に減少した。最後に、in vivoにおいてもTAがマスト細胞の活性化を抑制するか、受動的全身性アナフィラキシーモデルを用いて解析したところ、TA投与群では抗原投与後の体温低下がコントロールと比べて抑制された。
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International immunology
巻: 29 ページ: 87-94
10.1093/intimm/dxx009
PLOS ONE
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