1.ビタミンAがILC2のIL-5産生を司る可能性を検証した。ビタミンA代謝産物であるレチノイン酸の存在下で大腸粘膜固有層リンパ球を培養したところ、IL-5産生の有意な増加が認められた。ILC2にはレチノイン酸に対する受容体が発現していたことから、レチノイン酸がILC2に直接作用しIL-5産生を司る可能性が示された。 2. T細胞非依存性IgA産生における好酸球の機能を解析した。a)TCRα欠損マウス及びTCRα・好酸球二重欠損マウスの糞中IgAを比較した。TCRα・好酸球二重欠損マウスの糞中IgAが有意に低下していたことから、好酸球がT細胞非依存性IgA産生を増強している可能性が示された。b)TCRα欠損マウス及びTCRα・好酸球二重欠損マウスの腸管IgA+細胞数に差は認められなかったため、好酸球はT細胞非依存性IgA産生においてIgA+B細胞の分化には影響しないと推察された。そこで、好酸球がIgA産生細胞によるIgA産生を増強している可能性を検証するため、大腸IgA産生細胞と好酸球とを共培養し培養上清中のIgA産生量を比較した。結果、IgA産生細胞単独に比べ、好酸球と共培養することでIgA産生の有意な増加が認められた。従って、T細胞非依存性IgA産生において、好酸球はIgA+B細胞の分化ではなく、IgA産生細胞に作用しIgA産生を増強していると推察された。 3. T細胞非依存性IgA産生におけるIL-5産生ILC2の生理的役割を解析するため、TCRα欠損マウス、及びTCRα・IL-5二重欠損マウスの腸内細菌叢を比較した。TCRα・IL-5二重欠損マウスにおいてClostridium cluster Iの有意な増加が認められたことから、IL-5産生ILC2はT細胞非依存性IgA産生を調節を介し、腸内細菌叢の恒常性維持を担っていると示唆された。
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