研究課題
森林作業道の施工方法の違いが維持管理費用に与える影響を明らかにするため、信州大学手良沢山演習林で、締固めを実施した施工区と行わない施工区を開設し、路体の形状および表面および内部強度を調査した。作設直後と伐出作業後、作設から10ヶ月経過後の今年度の伐出作業開始前にキャスポルおよび簡易貫入試験により路体の締固め強度を調査し、路面表層の横断形状を把握するためトータルステーションによる横断測量を行った。作設10カ月経過後の結果から、締固めなし区では表層から30cm程度の深さまでは支持力が向上していたものの、それより深い路体内部の支持力は向上せず、軟弱な状態を示していた。路体内部においては、初期の締固めが重要であることが確認された。横断形状も、締固め区においては沈み込みが確認されなかったが、B区では轍部分で大きく沈降し、路面の横断方向の起伏が激しくなっていた。そのため、初期形状まで修復を試みた場合、作業時の費用と合算すると、締固め作業を実施したほうが開設費用は大きくなるものの7年程度で、締固め無し区との費用が逆転する試算結果が得られた。作業道の路面を維持するためには、横断排水溝の管理が重要となるが、これまでの指針では具体的メンテナンス間隔等は示されていないため、横断排水溝の土砂堆積を計測し、環境条件及び設置条件から受ける影響を調査した。周辺土質によって受ける影響が大きく、マサ土の範囲では堆積しやすいため、他の土質に比べ維持費用の増大が示唆された。また、高規格の路網整備にあたって現状の路網を高規格化の可能性についても検討した。長野県伊那市の林道相当路網を対象に、地形傾斜から拡幅の可能性を分析した。高規格化のみでは必要とされている、基盤路網には達成できず、拡幅範囲に崩壊危険地形も含まれ維持管理の増大が予測されるため、新規開設路線を含んだ、路網整備計画の立案が重要であることが示唆された。
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森林利用学会誌
巻: 33 ページ: 123~131
https://doi.org/10.18945/jjfes.33.123