| 研究課題/領域番号 |
15K18711
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| 研究機関 | 京都大学 |
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研究代表者 |
今井 伸夫 京都大学, 霊長類研究所, 研究員 (00722638)
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| 研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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| キーワード | 菌根菌 / 炭素動態 / 土壌 / 森林 |
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| 研究実績の概要 |
土壌は陸域生態系で最大の炭素貯留の場であり、土壌炭素動態の理解は気候変動予測の上で重要である。土壌からは、土壌微生物による有機物分解や植物根・菌根菌の呼吸をとおして、大量のCO2が放出されている。これらは合わせて土壌呼吸と呼ばれており、土壌炭素量を規定する重要な要因の一つである。これまで、土壌微生物や植物根（菌根菌を含む）からのCO2放出速度については、多くの研究が行われてきた。しかし、菌根菌からのCO2放出速度は、菌根菌を生きたまま植物根から分離して呼吸を測る、という技術的困難さからほとんど測定例がない。
本研究は、菌根菌呼吸の分離測定手法を開発し、その環境応答特性を明らかにすることを目的とする。森林総研関西支所の京都府山城試験地において、2つの異なる菌根菌呼吸の分離測定手法の開発を試みた。
①「単位バイオマス当たりの呼吸速度」は、その生物の代謝活性を示す基礎情報だが、菌根菌には未だそれさえ無い。そこで、菌糸のみ通り抜けられる40μmメッシュ（根は太くて通れない）でできた菌根菌糸イン・グロース・コアをコナラとアラカシ林下に埋設した。腐生性微生物のコンタミ除去のため、実験区の表層土を、炭素放出がほぼゼロの真砂土に置換した。約4か月後に掘り取り、静的CO2チャンバー法によりコアからのCO2放出速度を測定し、菌根菌呼吸の速度には種間差があることを示した。
②菌根菌呼吸を野外・連続・分離測定する手法開発を行った。根呼吸のコンタミ量推定、環境同調型チャンバー、同上の腐生性微生物由来CO2のコンタミ回避、などの複数のプロトコルや測定装置の開発を行った。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
菌根菌呼吸の野外・連続・分離測定手法の開発、特に腐生性微生物由来CO2のコンタミ回避のプロトコル開発は、試行錯誤の連続で時間を要した。しかし、研究協力者らの助力により、研究は概ね順調に進展した。
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| 今後の研究の推進方策 |
今後も予定通り、以下を行う。①イン・グロース・コア内の菌糸量測定を行い、菌根菌バイオマス当たりの呼吸速度の種間比較を行う。菌糸量測定の方法は、申請者に経験があるため特に問題は無い。②菌根菌呼吸の連続測定では、引き続き測定を続けるとともに、同時測定している温度・水分に関するデータを用いて、呼吸の環境応答特性を明らかにする。データ解析では、解析経験豊富な研究協力者らの助言を得られるため問題はない。
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