土壌からは、土壌微生物・植物根・菌根菌の呼吸をとおして大量のCO2が放出している。この土壌呼吸速度の規定要因を明らかにすることは、土壌炭素動態の理解や気候変動予測の上で重要である。土壌微生物や植物根圏の呼吸については、これまで多くの研究が行われてきた。しかし菌根菌呼吸を測るには、生理活性を保ったままホスト(植物根)から菌根菌糸を分離しなければならず、これまでは技術的に不可能だった。そこで本研究は、菌根菌糸のみが通過できるメッシュフィルム製コアを用いた菌根菌呼吸速度の測定手法を開発した。そして、宿主樹種や土壌栄養状態によって菌根菌呼吸が大きく変わりうることを野外で初めて観測することに成功した。
|