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2016 年度 実施状況報告書

豪雨時における斜面水文プロセスの把握に基づいた斜面表層崩壊の発生機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 15K18714
研究機関立命館大学

研究代表者

藤本 将光  立命館大学, 理工学部, 助教 (60511508)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード斜面崩壊 / 豪雨 / 岩盤地下水 / 湧水 / 微地形 / 地形発達 / 地下水流動
研究実績の概要

本研究では,斜面崩壊地において地形解析,水文調査,地盤調査を含む詳細な野外調査を行うことで,脆弱性を持つ斜面の特徴を把握することを目指す。調査を基にして斜面崩壊の危険性の高い斜面を抽出し,野外水文観測を行うことで,風化基岩層の地盤特性と水文プロセスの挙動の関連性を明らかにする。また,室内土層実験を用いて高降雨強度時の斜面崩壊発生メカニズムを検討することを目的とする。本年度は昨年度の結果に基づき,微地形解析に基づく地形判読と湧水の現地調査を組み合わせた斜面崩壊の潜在的危険度を評価手法の定量化を試みた。その結果、調査対象地域は地下水の湧出に伴い浸食作用による斜面崩壊が卓越する個所と定常的な地下水に起因しない斜面崩壊が発生する箇所に分類された。また,地形指標を用いることでそれらの地形分類が可能となることが示唆された。さらに,現地斜面における地盤内の水分状態のモニタリングの結果から,過剰間隙水圧の発生を含む複雑な地下水流動過程が示された。過剰間隙水圧の発生は斜面の不安定化要因であり,今後その発生条件を検討する必要がある。豪雨時の斜面崩壊のメカニズムを把握するため,降雨浸透-地下水帯の発生-土層の変形をいう一連の過程を把握する室内土層実験を行った。特に土層の変状を計測する装置を開発し,詳細な変状過程の把握を試みた。その結果,降雨浸透に伴って地下水帯が形成され,地下水位が上昇することで斜面崩壊が発生することが示されたが,土層の変形過程を明瞭に捉えることはできなかった。本年度の結果から斜面崩壊のタイプと土層の変状過程の関連性を捉える必要があり,実験数を増やし,豪雨時の崩壊発生機構を検討する余地がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究においては,地形解析と現地調査の結果から斜面崩壊の潜在的危険個所を抽出する手法を提案できる可能性が示唆された。提案した手法は対象流域に限られているため,他の地質流域においても適応可能かを検討する必要がある。現地モニタリングおよび室内実験の結果から斜面崩壊の発生メカニズムの要因の一端を明らかにしつつある。今後のデータの蓄積によって豪雨時の斜面崩壊発生機構が解明できると期待される。

今後の研究の推進方策

豪雨時の斜面崩壊発生機構を解明するため,野外観測データを取得する。また,様々な降雨強度,総降水量の降雨入力パターンを想定し,室内土層を用いた斜面崩壊実験を実施する。特に,地下水位の発生,斜面の変状過程を把握できるように実験装置を改良する。両者のデータを基に豪雨時の降雨浸透,地下水流動に関する水文プロセスを把握し,水文プロセスが斜面崩壊発生機構に及ぼす影響を検討する。

次年度使用額が生じた理由

実験で得られた結果が予想していた結果と異なったため,計測装置の見直し,再設計の必要が出たため,研究費の使用計画に変更があった。

次年度使用額の使用計画

実験計画の再度練り直し,次年度以降の実験装置を準備している段階にある。再実験を行い,早期に研究目的に達しえる結果が得られる実験ができるように努める。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 7件、 謝辞記載あり 5件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 花崗岩山地小流域における基底流出の空間分布特性に及ぼす岩盤地下水の影響2016

    • 著者名/発表者名
      藤本将光・正岡直也・小杉賢一朗・馬場直輝・糸数哲・上田竜也・酒井康裕・下垣内裕哉・勝山正則・深川良一・谷誠
    • 雑誌名

      地形

      巻: 37 ページ: 493-510

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 京都市東山地域における斜面崩壊の潜在的危険度評価2016

    • 著者名/発表者名
      藤本将光・戸田堅一郎・有光悠紀・里深好文・深川良一
    • 雑誌名

      歴史都市防災論文集

      巻: 10 ページ: 55-58

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 清水寺観測斜面における地上雨量とレーザ雨量との差異に関する一考察2016

    • 著者名/発表者名
      檀上徹・藤本将光・石澤友浩・有光悠紀・深川良一
    • 雑誌名

      歴史都市防災論文集

      巻: 10 ページ: 47-54

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 清水寺周辺渓流における土石流氾濫解析2016

    • 著者名/発表者名
      縄手洋介・梶山敦司・藤本将光・里深好文
    • 雑誌名

      歴史都市防災論文集

      巻: 10 ページ: 59-66

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Characteristics of rain infiltration in soil layers on the hillslope behind important cultural asset2016

    • 著者名/発表者名
      Arimitsu Y., Fujimoto M., Hiraoka N., Danjyo T., Ishida Y. and R. Fuykagawa
    • 雑誌名

      International Journal of GEOMATE

      巻: 10 ページ: 2109-2115

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] A method to judge slope failures using soil moisture characteristics2016

    • 著者名/発表者名
      Iida T., Fujimoto M., Kumakura N., Takasaki D., Hiraoka N. and R. Fukagawa
    • 雑誌名

      International Journal of GEOMATE

      巻: 10 ページ: 2094-2100

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 加振後の盛土斜面における降雨による斜面崩壊に関する研究2016

    • 著者名/発表者名
      野中慎介・平岡伸隆・角宏一・藤本将光・深川良一
    • 雑誌名

      Kansai Geo-symposium 2016論文集

      巻: 1 ページ: 8-7

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 大規模降雨時における斜面崩壊発生機構に関する実験的検討2016

    • 著者名/発表者名
      飯田哲也、藤本将光、小杉賢一朗、平島永嗣、平岡伸隆、深川良一
    • 学会等名
      平成28年度砂防学会研究発表会
    • 発表場所
      富山県民会館(富山県富山市)
    • 年月日
      2016-05-18
  • [学会発表] 重要文化財後背斜面における間隙水圧値を用いた斜面崩壊危険度予測の検討2016

    • 著者名/発表者名
      有光悠紀、藤本将光、檀上徹、平岡伸隆、石田優子、深川良一
    • 学会等名
      平成28年度砂防学会研究発表会
    • 発表場所
      富山県民会館(富山県富山市)
    • 年月日
      2016-05-18

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公開日: 2018-01-16  

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