研究課題
若手研究(B)
本研究では、スギの冬期の休眠における分子メカニズムへの理解を進めるため、成長の停止した10月から3月におけるスギの冬芽の遺伝子発現を網羅的に解析した。マイクロアレイを用いた解析の結果、休眠期においても発現遺伝子は刻々と変化していた。また、自発休眠期と他発休眠期で発現量の異なる遺伝子や、他発休眠において開葉までにかかる日数と相関のある遺伝子を明らかにした。これらの発現データから、スギは休眠中であっても、厳しい冬の環境を耐えるために刻々と変化して環境に適応していると推定された。
林木育種
林業主要樹種であるスギにおいてフェノロジー(生物季節)を理解することは、近年の気候変動への対策を考える上で重要な基盤情報となる。特に、冬期の環境条件は成長に大きな影響を与えることが報告され、休眠期の重要性が指摘されている。本研究では、10月から3月におけるスギの詳しい休眠ステージやその時期に特異的な発現遺伝子を明らかにした。今後これらの知見は、冬期のスギの生命現象を研究する上での重要な基盤情報となる。