研究課題/領域番号 |
15K18718
|
研究機関 | 国立研究開発法人 森林総合研究所 |
研究代表者 |
直江 将司 国立研究開発法人 森林総合研究所, 森林植生研究領域, 任期付研究員 (80732247)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 種子散布 / 鳥類 / 哺乳類 / 散布カーネル / 種子散布距離 |
研究実績の概要 |
鳥類と哺乳類による種子散布距離の推定に必要な動物散布種子をサンプリングするために、種子トラップと踏査によって種子を含んだ動物糞を回収した。今年は調査地の小川試験地においては液果樹木の豊作年に当たり、動物糞にはミズキ、ヤマボウシ、カスミザクラ、アオハダなどの種子が多数含まれているのが観察された。 また、森林内の鳥類と哺乳類の種組成や個体数の季節変動を調べるために、双眼鏡を用いた直接観察や動物糞の観察を行った。鳥類では、ヒヨドリとメジロが一年を通して代表的な果実食鳥であり、夏季には東南アジアから繁殖のために飛来したキビタキとクロツグミ、秋季にはシベリアから越冬のために飛来したツグミが加わった。哺乳類では、テンが一年を通して代表的な果実食獣であったが、哺乳類が好むミズキやヤマボウシの結実する秋季にはアナグマやタヌキも観察された。並行して、処理が終わっていない年のサンプルの仕分け、計量を進めた。 さらに、サンプリング済みの動物散布種子を用いて、Clark(1999)の手法を用いて12樹種の種子散布カーネルの作成を行った(カスミザクラ、ウワミズザクラ、ミズキ、アオハダコシアブラ、ツタウルシ、キハダ、クマノミズキ、サルナシ、ツリバナ、ツルマサキ、ハリギリ)。種子散布カーネルの実測値に対する当てはまりは比較的良好であった。また、種子散布カーネルや種子散布距離の年変動は樹種によって大きく異なっていた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
初年度の計画は、動物散布種子のサンプリング、動物相の観察、既存のサンプルの処理を進めることであったが、いずれもほぼ完了させることができたため。また、さらに、サンプリング済みの動物散布種子を用いて12樹種の散布カーネルを試験的に作成することが出来たため。
|
今後の研究の推進方策 |
全体計画で求められている鳥類と哺乳類の種子散布距離の決定要因を特定するため、サンプリング済みの動物散布種子を用いて、散布カーネルの樹種差や年変動の解析を行う。決定要因の候補としては、対象樹木の結実期の動物散布樹木群集全体の果実量や同種樹木の果実量を用いる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
サンプリングした種子の処理用に人件費・謝金を計上していたが、適切な人物が確保できなかった。その分の研究効率の低下を軽減するために、低温乾燥機等の実験機器を購入した。
|
次年度使用額の使用計画 |
現地調査や学会発表に必要な旅費、種子の処理などの人件費・謝金などに使用する予定である。
|