研究課題/領域番号 |
15K18720
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
遠藤 力也 国立研究開発法人理化学研究所, バイオリソースセンター, 協力研究員 (90634494)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 生物多様性 / カルチャーコレクション |
研究実績の概要 |
本研究は、我が国の森林にどれだけ多様な真核微生物が存在しているか、網羅的な調査により明らかにすることを目的とする。高速シーケンサーを用いた菌類群集の解析(非培養法)および培養を解した菌株の収集により、森林環境に棲息する菌類の多様性を評価する 。 真核微生物多様性を評価するために、高速DNAシーケンサーRoche 454 GS Jr.を使用する 計画だった。しかしRoche社による当該機器サポートの終了及び試薬供給の停止に至り、実験の再現性・検証可能性を確保する観点から、塩基配列データの取得に用いるシーケンサーの再検討を余儀なくされた。Oxford Nanopore社の提供する新型高速シーケンサーMinIONを導入し、ランを試行したところ有効に活用できることが確認できた。解析検体のマルチプレックス化についてはなお課題があり、群集解析をハイスループットに実施する手法を次年度に引き続き検討する。 植物病原菌をはじめとした糸状菌やきのこ等のインベントリは作製されてきたが、我が国における酵母類のインベントリは作製されていない。この点について本課題で取り組むべく、国産の酵母菌株がカルチャーコレクションにどれくらい保存されているかを調査し、その結果の一部を発表した(Groenewald et al. 2017)。この過程で、生態が解明されていない酵母類がいかに多いかも解った。本研究課題の実施により、野外のおける酵母類のハビタットに関するデータが取得され、生態解明に資する新規知見が多く得られると期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本課題では、真核微生物多様性を評価するために、高速DNAシーケンサーRoche 454 GS Jr.を使用する計画だった。しかしRoche社による当該機器サポートの終了及び試薬供給の停止に至り、実験の再現性・検証可能性を確保する観点から、塩基配列データの取得に用いるシーケンサーの変更を余儀なくされた。こういった背景から、研究の進捗が遅れており、研究期間の延長を申請した(承認され、平成30年度に研究を継続)。
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今後の研究の推進方策 |
データ産出は遅れているが、研究計画や方向性そのものの変更は予定していない。 前年度に引き続き、試料のサンプリング地点を増やすことと、特に昆虫試料の採集を重視して研究を進める予定である。 また、新型高速シーケンサーMinIONをフルスペックに活用して、培養に依存しない手法で微生物多様性評価を進めるとともに、培養によって菌株を取得することにも注力する。
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次年度使用額が生じた理由 |
真核微生物多様性を評価するために、高速DNAシーケンサーRoche 454 GS Jr.を使用する 計画だった。しかしRoche社による当該機器サポートの終了及び試薬供給の停止に至り、実験の再現性・検証可能性を確保する観点から、塩基配列データの取得に用いるシーケンサーの再検討を余儀なくされた。主にこの変更のため次年度使用額が発生した。 解決策として、Oxford Nanopore社の提供する新型高速シーケンサーMinIONを導入し、ランを試行したところ有効に活用できることが確認できた。次年度はこのシーケンサーの駆動にかかる消耗品に繰越予算を充てる予定である。
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