研究課題/領域番号 |
15K18726
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
星 徹 日本大学, 理工学部, 助教 (30513973)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 中球球状BCゲル / バクテリアセルロース / 形状制御 / オイル中での浮遊培養 |
研究実績の概要 |
オイルに浮遊させた培養液滴中での酢酸菌の培養による中空球状バクテリアセルロース(BC)ゲルの調製において,酢酸菌の生育を阻害せず,液滴をオイル中に良好に分散させる界面活性剤を用いることで,約2倍程度得られる中空球状BCゲルの個数を増やすことに成功した.また,高粘度のオイルを用いることで,培養液滴同士の接触と融合を抑制し,得られる個数が増えることを見出した.界面活性剤と高粘度オイルを用いることで、今まで調製が困難であった粒径1mm程度の中空球状BCゲルを安定的に得ることに成功し,より粒径の小さい中空球状BCゲルの調製へ応用を進めている. 中空球状BCゲルの膜厚やセルロース繊維密度の制御は,基礎物性を測定する上で非常に重要な因子である.好気性細菌の酢酸菌は,通常空気-培養液界面でBCゲルを生産するが,オイル中に浮遊した培養液を用いた場合,酸素がオイルを透過する必要があり,空気-培養液界面と比べて,BCゲルの産生が抑制された.種類の異なるオイルの使用や外部からのエアレーションによるBCゲルの生産量の増加を試みているが,現状,十分な効果が確認されていない.そこでエアレーションにより溶存酸素量を飽和させた培養液を用いた中空球状BCゲルの調製を新たな検討項目とした.通常の静置培養である空気-培養液界面でのBCゲル産生では,エアレーションを行った方が同じ培養日数でもセルロース繊維の生産量が増加することが明らかとなった.オイル-培養液界面でのBCゲル産生でも同様の傾向であるらしく,再現性の確認中である.また,エアレーションを中空球状BCゲルの調製に応用していく予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
オイルの粘度が培養液滴の分散安定性に影響を与えることが見出されたため,新たな検討項目として当初の計画に加えた.また,溶存酸素センサーの納品が遅かったことと培養中のリアルタイム計測に向けた装置類の再構築に時間がかかったため,当初計画より遅れていると判断する.
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今後の研究の推進方策 |
得られる中空球状BCゲルの個数を増やすことに成功したため,28年度に当初計画していた物性測定は計画通りに進める予定である. 溶存酸素センサーを用いた実験が遅れているが,装置類の再構築が終了したため,28年度末までに当初計画を完遂する.ただし,オイルの酸素透過性がセルロースの生産量に大きな影響が確認されない場合は当初計画2bを中断し,新たに培養液のエアレーションの効果を検討する.
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