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2016 年度 実施状況報告書

汚染空気の酸化作用に対する樹皮タンニンの低減効果の解明

研究課題

研究課題/領域番号 15K18727
研究機関国立研究開発法人森林総合研究所

研究代表者

牧野 礼  国立研究開発法人森林総合研究所, 森林資源化学研究領域, 主任研究員 (50353850)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワードタンニン / 二酸化窒素 / 抗酸化能 / 樹皮
研究実績の概要

縮合型タンニンは、樹皮に豊富に含まれる高分子ポリフェノール成分であり、高い抗酸化能を持つ。タンニンの抗酸化能は、フリーラジカル消去能等により液相の試験方法で評価されることが多く、気相での抗酸化能は明らかにされていない。本研究では、酸化促進剤である二酸化窒素を用いて、タンニンの気相における抗酸化能を検討した。タンニンは、フラバノール構成単位、構成芳香核、分子量等の化学的性状を明らかにし、気相抗酸化能試験に供した。その結果、タンニンは気相抗酸化能を持つこと、また、Pyrogallol型のB環構造を持つタンニンが、Catechol型のB環構造を持つタンニンより高い気相抗酸化能であることが分かった。このことから、気相抗酸化能にはタンニンの水酸基が関わっており、特にB環構造の水酸基が影響することが考えられた。また、タンニンと二酸化窒素との反応を明らかにするため、二酸化窒素除去能を測定した結果、タンニンは二酸化窒素と反応し、除去する機能を持つことが明らかになった。一方、タンニンの主要な構成単位の一つであるカテキンでは、二酸化窒素除去能は認められず、単量体よりも重合物であるタンニンにおいて二酸化窒素除去能は高い傾向があった。二酸化窒素除去能に対する水酸基の影響を明らかにするため、水酸基をアセチル化したタンニンを調製し、二酸化窒素除去試験を行った。その結果、アセチル化タンニンでは、二酸化窒素除去能が大きく減少した。このことから、タンニンの二酸化窒素除去能には水酸基が関わっていることが示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

フラバノール構成単位、構成芳香核、分子量等の化学的性状が明らかであるタンニンを用いて、気相抗酸化能試験を行った。その結果、Pyrogallol型のB環構造を持つタンニンが、Catechol型のB環構造を持つタンニンより高い気相抗酸化能であることが分かった。気相抗酸化能にはタンニンの化学構造のうち、特にB環構造の水酸基が影響することを明らかにした。また、タンニンと二酸化窒素との反応について検討した結果、タンニンは二酸化窒素に対して反応・除去する機能を持つこと、また、その反応部位は水酸基であることを明らかにした。今年度の研究計画はおおむね順調に進展している。

今後の研究の推進方策

これまでの成果から、タンニンの気相抗酸化能は、構成芳香核であるB環構造が大きく影響すること、また、タンニンの二酸化窒素除去能は、水酸基が影響することが明らかになった。したがって、今後の研究の推進方策としては、低分子量フラバノール化合物等をモデル化合物として用いて、気相抗酸化能に影響する活性部位を明らかにする。また、これらの成果をまとめて、タンニンと気相抗酸化能の反応機構を解明する。

次年度使用額が生じた理由

本年度予定していた物品購入が予定より安価で購入できたことにより、物品購入費が変更したため、次年度使用額が生じた。

次年度使用額の使用計画

気相抗酸化能試験及びタンニンの分析に必要な試薬類、分析器具を支出する。実験の効率化のため、補助員を雇う。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2017

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 樹皮タンニンの二酸化窒素除去能の解明2017

    • 著者名/発表者名
      牧野 礼、橋田 光、松井 直之、大平 辰朗
    • 学会等名
      第67回日本木材学会大会
    • 発表場所
      九州大学(福岡県福岡市)
    • 年月日
      2017-03-17 – 2017-03-19

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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