貧酸素水塊の形成が著しい有明海奥部干潟縁辺域において2017年9月の小潮時に底層水(海底直上0.2m)を採水し、生物学的酸素消費速度、化学的酸素消費速度、硫化水素による酸素消費速度を測定した。その結果、全酸素消費速度は2.40 mg/L/dayであり、かなり大きな値となっていた。その要因は、生物学的酸素消費(植物プランクトンの呼吸と微生物による有機物分解)が約77%であり、化学的酸素消費(還元物質の酸化)は約23%だった。前年度の結果(硫化水素の酸素消費は化学的酸素消費速度の95%、実験開始時の溶存酸素濃度は2.5mg/L程度)と比較すると、硫化水素による酸素消費の割合は小さかった。実験を行った定点は、小潮期に毎回貧酸素水塊が形成することが報告されており、また2018年度実験開始時の溶存酸素濃度は7mg/L程度であったことから、実験開始時の溶存酸素濃度よって硫化水素の酸素消費の割合が大きく変動することが示唆された。
|