研究課題/領域番号 |
15K18731
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研究機関 | 国立研究開発法人水産研究・教育機構 |
研究代表者 |
山田 勝雅 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 西海区水産研究所, 任期付研究員 (80569195)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | アミノ酸安定同位体比 / アゲマキ / 好適環境 / 生存戦略 / 摂餌生態 / 個体群減耗要因 |
研究実績の概要 |
佐賀県沿岸において採集された様々なサイズ(成長段階)の天然アゲマキと,佐賀県の室内飼育による人工種苗のアゲマキの炭素・窒素安定同位体比,およびアミノ酸(フェニルアラニンとグルタミン酸)の安定同位体比の測定を行うとともに,消化管内容物の観察を行った.天然アゲマキと人工種苗アゲマキとのアミノ酸の安定同位体比と消化管内容物の結果の差異から,有明海に生息するアゲマキの好適食性が完全に解明されつつある.今後も本手法を用いて空間を広げ,八代海等も対象に高精度なアゲマキの栄養段階推定を行う.また,有明海でアゲマキの捕食者と考えられるカニ類,ゴカイ類等を採集し,それらの炭素・窒素安定同位体比,アミノ酸の安定同位体比を測定するとともに,消化管内容物の観察を引き続き行っている.これらのデータセットを基にアゲマキの捕食者の特定と捕食圧の時空間変異の解明を目指している. アゲマキ好適生息環境の解明・把握を行うために,有明海の底質,水環境,餌生物の空間分布動態を,既存のメタデータの整理を昨年度から引き続き行っている.データセットを基に,有明海・八代海でのアゲマキの好適環境と考えられる地域を算出した結果,好適な環境と考えられる地域(面積)に対し,実際に生息している地域(面積)が著しく小さいことが示唆された.本結果に対するデータ精度の確認を行うとともに,引き続き本種の生息に好適な環境条件の効果的な抽出手法の確立を目指している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アゲマキの好適食性解明を行うために,天然アゲマキと,室内飼育による人工種苗のアゲマキの消化管内容物の観察とともに,炭素・窒素安定同位体比,およびアミノ酸(フェニルアラニンとグルタミン酸)の安定同位体比について測定を行い,得られた結果の差異から,有明海に生息するアゲマキの好適食性が完全に解明されつつある.また,アゲマキの捕食者と考えられるカニ類,ゴカイ類等の炭素・窒素安定同位体比,アミノ酸の安定同位体比の測定中であり,これらのデータセットを基にアゲマキの捕食者の特定と捕食圧の時空間変異の解明を引き続き目指している. アゲマキ好適生息環境の把握においては,有明海の底質,水環境,餌生物の分布動態を,既存のメタデータの整理を行った.その結果,有明海・八代海でのアゲマキの好適な環境と考えられる地域(面積)に対し,実際に生息している地域(面積)が著しく小さいことが示唆された.また特に,データ統合の際に得られた知見を活用して,有明海の二枚貝の好適生息環境に関する内容の論文を公表することができた.引き続き,本結果に対するデータ精度の確認を行うとともに,本種の生息に好適な環境条件の効果的な抽出手法の確立を目指す.
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今後の研究の推進方策 |
アゲマキの食性解明および捕食者・捕食圧の特定については,引き続き有明海南部や天草,八代海等の他の地域のアゲマキの発見例がある有明海内の他の場所にも注目して解析を行い,アゲマキ周辺の食物網に関する普遍的な関係を抽出できることが期待される. アゲマキ生息環境の把握については,主に過去の有明海のメタデータを使用しているができるだけ現在に近いデータセットを用いるために,引き続き各関係機関との調整を行う.また,暫定結果に対するデータ精度の確認を行うとともに,効果的な統合解析に向けたより決定論的な空間統計的手法について引き続き検討を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
雇用していた臨時職員がご家庭の事情(妊娠・出産)により予定よりも早期に退職となったため
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次年度使用額の使用計画 |
今年度の雇用期間を長くして使用する
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