本研究中での観察例では、エゾアワビが産卵するタイミングが浅所(水深3-5m付近)と深所(水深10m付近)では異なっていた。産卵された卵とその幼生の分散距離は、時空間的に変動する海流の影響を受けて変化する。そのため、個体群の新規加入への貢献度は、浅所と深所に生息する個体とでは異なる可能性が高い。
本種は体外受精種であるため、産卵時の個体間距離やその周辺の個体数が受精率や受精卵の遺伝的多様性に影響しうる。本研究では、互いに匍匐粘液を追従し合うことで雌雄の遭遇率が高くなることと、粘液追従の効果は生息密度が高いほど高くなることが示された。
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