研究課題/領域番号 |
15K18736
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研究機関 | 国立研究開発法人水産総合研究センター |
研究代表者 |
安田 十也 国立研究開発法人水産総合研究センター, その他部局等, 研究員 (10550428)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | マサバ / バイオロギング / 回遊 / 実験 / 行動 / データロガー / バイオテレメトリー |
研究実績の概要 |
マサバ成魚(推定3歳)を対象とした飼育実験の分析結果を学術雑誌に公表した。本実験では、動物装着型の行動記録計(データロガー)を腹腔内に挿入したマサバの生存率について調べた。その結果、データロガー装着魚の生存率は、高水温条件下では未装着魚の生存率に比べて有意に低くなるが、低水温条件下では両者の間に差がないことが明らかなった。また、腹腔内にデータロガーを挿入するためには外科手術を施す必要があるが、外科手術自体は水温条件に関わらずマサバの生存率に直接影響しないことも明らかとなった。以上より、東シナ海においてマサバ成魚のバイオロギング調査を行うには水温20℃以下の環境下で実施することが望ましいと考えられた。 東シナ海において現在漁獲されるマサバの多くは0-1歳魚である。そこで、体サイズの小さいマサバ0歳魚を対象としたバイオロギング調査が可能であるか評価するための飼育実験を実施した。この実験では、データロガーの装着方法による生残率の違いや、照度や外部水温を計測するためのストーク付きデータロガーを使用した際の生残率についても調べている。 次年度以降のフィールド調査を計画的に実行するために、マサバ漁業者に対する聞き取り調査や意見交換等を行い、調査環境の整備を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
魚類を対象としたバイオロギング研究を遂行する上で重要な研究成果を一連の飼育実験により得ることができている。また、この研究成果に基づいたフィールド調査の実施にむけて、現地における研究環境の整備を順調に進めることができている。したがって、現在までの研究進捗状況は、おおむね順調に進展できると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
野外調査を地元漁業者との連携を図りながら実施していく。飼育実験で得られている成果に関しては出来る限り迅速に公表していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
野外調査が次年度の秋季に実施となったため、当該年度に購入を予定していたデータロガーを、電池節約のため、次年度に購入することとした。そのため当該年度に所要予定であったデータロガー購入費を次年度に繰り越した。飼育実験で用いる実験魚の購入費が共同研究者の厚意により不要となったため、それに関わる物品費の支出が当初の予定より少なくなった。野外調査のための環境整備が、当初の計画より効率的に進んだために旅費の支出を当該年度の所要額より抑えることができた。
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次年度使用額の使用計画 |
小型浮魚類の回遊メカニズムの解明にはデータロガーによる個体レベルの詳細な行動・環境情報が必要不可欠である。国際的にインパクトのある成果を発信するためにも、可能な限りデータロガー購入費用に予算を充てる必要がある。したがって、本年度生じた次年度使用額は、当初の計画通り、データロガー購入費に充てる計画である。
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