研究課題
本年度は、九州北部及び日本海に面する府県の水産関係施設(n=43)に対してコシナガの水揚げに関するアンケート調査を行い、14府県合計23施設から回答が得られた。その結果、東北から甲信越までは、コシナガの認識が低く、北陸から九州北部では、コシナガを認識し水揚げ等をしていることがわかった。1995年から2016年の下関市蓋井島定置網の水揚伝票からコシナガの漁獲(7757個体)をまとめた結果、9月が月別漁獲量が最大で173.3±306.4個体(平均±標準偏差)、水温は25.3±1.6℃であった。2008年から2016年の同定置網で漁獲されたコシナガ雌(n=42)、雄(n=35)から算出した月別の生殖腺指数は、雌は6月(20.6±0.1℃)の7.5±1.5、雄は7月(23.4±1.3℃)の9.9±3.3が最高値となり、20℃以上の水温で産卵している可能性が考えられた。2016年7月と9月の雌(n=3)と雄(n=3)の組織切片標本からは、7月は放卵、排精が確認され、9月は、卵膜の崩壊と核の消失が確認され、包嚢も無くなっていた。2016年8月19日から8月22日、同県日本海側で実施された練習船による表層トロール調査実習では、コシナガの稚魚が漁獲され、9月11から9月14日の曳縄漁業調査実習では、北緯35度以南で、20℃以上の水温帯が沿岸に近づくほどに水深30mから50mまで広がり中で、岸近くにおいてマグロ類の成魚の群れが観測された。10月17日及び10月25日、一本釣り漁船を傭船し、漁獲調査を実施した結果、同県日本海側川尻岬においてコシナガ成魚が漁獲でき、1個体にポップアップアーカイバルタグを取り付け、放流することができた。予定よりも早期に7日間と短い間でタグが死亡等のトラブル以外で浮上したが、岸近くの温かい水域を供試魚が川尻岬から萩市見島の東まで北上したと示唆されるデータが得られた。
すべて 2017
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件)
Journal of National Fisheries University
巻: 65 ページ: 267-272