水産養殖の中でも、種苗生産過程において、仔魚のへい死が問題となることが多い。発生初期の魚類体内では様々な代謝が起こっていることが想定されるが、今日まで詳細な研究報告は非常に限られている。本研究では、成体の肝臓で発現する様々な転写調節因子に着目し、発生初期のゼブラフィッシュにおいて遺伝子の発現解析を行った。その結果、いくつかの転写調節因子の発現が見られ、さらに低酸素、低温、低pHなどの環境ストレスに応答し発現を変動させるものも存在した。このことより、発生初期の魚類(胚~仔魚)において、体内の代謝を環境ストレスに応じて変動させる能力があることが示唆された。
|