本研究は有性生殖の誘導が可能な珪藻Pseudostaurosira trainoriiの雌雄株を材料として用い、性差や有性化の遺伝的制御機構の解明を目的として行われた。比較ゲノム解析の結果、核ゲノム中に雌雄差が見出され、現在網羅的遺伝子発現パターンとの比較解析を進めている。オルガネラゲノムは完全長配列が得られた。葉緑体ゲノムでは水平伝搬による外来DNA断片の挿入を経てサイズが巨大化した可能性が示唆された。さらに両オルガネラゲノムが片親遺伝していることが明らかとなった。また珪藻の有性化に際し、培養株に存在しているMarinobacter属細菌が性成熟に強く影響を与えている可能性が示された。
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