研究課題/領域番号 |
15K18746
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研究機関 | 福島大学 |
研究代表者 |
林 薫平 福島大学, 経済経営学類, 特任准教授 (30739355)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 福島県の漁業復興 / 原発事故 / 漁業協同組合 / 生活協同組合 |
研究実績の概要 |
初年度(27年度)は、研究推進のための理論・実態の両面で基礎作りを行った。 第一に、福島県漁業協同組合連合会が事務局を務めて毎月開催する福島県地域漁業復興協議会に委員として参加し、漁業再開の状況と、放射性物質のモニタリング状況、東電福島第一原発の状況の確認と審議に参与した。 第二に、国際的な観点から、NERIS(原子力・放射線危機への対応に関する欧州プラットフォーム)における福島原発事故をめぐる討議に参加した(5月にダブリンで予備討議、11月にパリで本討議。研究実施者は、「Present state of Fukushima fisheries: Four years after the nuclear power plant accident」を報告)。 第三に、東京の(財)生協総合研究所の場で、わが国の消費者・生活協同組合の食料経済をめぐる基本政策の整理を行った(林「自由化・新農政時代の生協の食料農業政策論──1990年代後半から2000年代までを対象に」『生活協同組合研究』27年10月)。引き続き、同研究所の場で、消費者・生活協同組合の食品安全をめぐる基本政策の整理を行っている(28年夏季にとりまとめる予定)。 第四に、北日本漁業経済学会の理事として、28年9月に福島で開催する研究大会のシンポジウムの骨格作りを行った。研究実施者としては、このシンポジウムの中で、レギュラトリーサイエンスの観点からの福島県漁業復興状況に関する評価と問題提起を行うことで本研究の中間発表とするほか、生活協同組合からのコメントをコーディネートする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
第一に、福島県の漁業復興について、県漁連が運営する協議会に参加して常に状況を確認しながら討議に加わっていることで本研究に不可欠な基礎的な状況把握は欠かさず行えている。第二に、放射性物質による食品汚染への対処という課題に関する国際的な議論と、国内の消費者・生協サイドにおける議論を整理するための準備もそれぞれ進めることができた。第三に、理事を務める北日本漁業経済学会では、28年度研究大会を福島開催とし、そこでシンポジウムの企画コーディネートに加わり、放射性物質汚染と漁業復興のテーマの研究を一歩前進させられる場を設定することができ、また研究実施者としても本研究の中間発表の場を設定することができた。
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今後の研究の推進方策 |
28年度は、27年度に準備したことを継続するとともに学会報告と論文発表を行う。 第一に、福島県地域漁業復興協議会の場では、引き続き、漁業再開状況、放射性物質モニタリング状況、東電福島第一原発状況を確認するとともに本研究の中間成果をフィードバックする。 第二に、NERIS(原子力・放射線危機への対応に関する欧州プラットフォーム)における福島原発事故をめぐる討議の場に、本研究の成果として放射性物質汚染と福島県漁業復興についてのレポートを発信し意見交換を行う。 第三に、(財)生協総合研究所の場で、消費者・生活協同組合の食品安全をめぐる基本政策の整理を行った成果をまとめ、生協グループの中で討議に付す。 第四に、28年9月に福島で開催する研究大会のシンポジウムで、福島県漁業復興状況に関する評価と問題提起を行うことで本研究の中間発表とする。 以上の成果を、専門学会誌(北日本漁業、協同組合研究、生活協同組合研究、協同組合研究誌 にじ、フードシステム研究等)に投稿する。
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次年度使用額が生じた理由 |
27年5月のダブリンのNERISワークショップで、航空券費用を主催団体が負担したため。また、27年度末に、本研究の成果の一部を印刷物として制作する予定であったが編集が遅れて28年度上期に持ち越しとなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
27年度制作予定であった印刷物は、28年度上期に制作する。
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