研究課題/領域番号 |
15K18748
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
石田 貴士 千葉大学, 園芸学研究科, 助教 (30623467)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | フードツーリズム / 地域経済振興 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、消費者行動理論を基礎に、観光客の特性や意識を解明する実証分析の知見から、「農・食」と観光資源との融合による地域経済振興を支援するための公共部門による観光振興政策や食品産業によるブランド管理のあり方、マーケティング戦略等を提示することにある。当該年度は、ご当地グルメを活用した観光事業の効率的な展開方向について検討することを目的に、黒石市で実施した観光客アンケートのデータを観光客の居住地域と訪問回数によって観光の目的がどのように異なるかをコレスポンデンス分析により明らかにした。その結果、第一に、ご当地グルメを観光の主な目的として訪れる観光客の割合は、居住地の距離が離れるほど小さくなり、その一方で、近隣都市の観光地を訪れるついでに訪れる割合が大きくなること、第二に、初回訪問者は黒石市内での滞在時間が短い観光、リピーターは滞在時間が長い観光をする傾向があり、これらの差異を考慮した観光プロモーションが重要になることが分かった。その成果は論文としてまとめ、『フードシステム学研究』に掲載された。また、調査地域である青森県黒石市の黒石商工会議所と黒石高校でセミナーや、『月刊金融ジャーナル』への寄稿により、現場や社会へのフィードバックも行った。さらに、地域経済振興に関連して、地方中小都市への工場誘致戦略についての研究成果も論文としてまとめ、『地域学研究』に投稿し、受理された。(1)石田 貴士・丸山 敦史・栗原伸一(2015)「B級ご当地グルメを利用した観光事業の展開方向に関する一考察」『フードシステム学研究』22巻3号、193-200.(2)小川 亮・石田 貴士 「立地要因分析から見た地方都市の工場誘致」『地域学研究』近刊
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当該年度中にB級ご当地グルメを活用した観光マーケティング戦略のあり方を提示した研究が『フードシステム学研究』に掲載され、地方中小都市の工場誘致戦略に関する研究が『地域学研究』に受理されるなど、当初の計画よりも早めに2本の論文が学会誌に掲載された。また、次年度に行うフードツーリズム観光客のセグメント分析のための準備も進めている。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、地域の食資源を他のどのような観光資源とパッケージングすることが、観光客誘致に効果的であるかを明らかにすることを目指す。そのために、アンケートデータをもとに、主成分分析を用いてフードツーリズム観光客のセグメント分析を行うことを計画している。また、その成果を学会報告や論文投稿などで発信するための準備を進める。
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