2017年度においては、まず根釧地域を広く移動しながら作業受託を行うコントラクターとTMRセンターからの作業受託のみを行うコントラクターの2業者に対してGPSを用いた作業履歴の把握と分析を行った。その際には、これまでの研究から、特に個別の経営から作業を受託するコントラクターにおいては、圃場条件の差異がもたらす作業効率への影響が大きいと予測されたため、その影響がどの程度なのかを分析するフレームワークの構築も意識している。 圃場データの解析から、個別経営からの受託コントラクターでは特にサイレージの積み込み場所と圃場の距離において大きな分散(平均距離2.3㎞、変動係数0.82)があることが明らかとなった。この圃場との距離はどの程度運搬車両が必要となるかを規定するものであるが、この分散が大きいことは固定の装備で多様な条件で作業を行うコントラクターにとっては作業効率を大きく低下させる可能性があることを意味している。 作業効率改善のための運搬車両数の変更シミュレーションを行った結果、現時点の装備で十分な圃場は3割程度であったが、一方で倍以上の台数を必要とする圃場も2割存在するなど、少しの機械増加だけでは作業効率の改善があまり見込めないことも明らかとなった。 回帰分析で求めた実際の作業速度を規定する要因としては、傾斜度の影響が大きく、圃場とサイロの距離に関してはコントラクターも遠い圃場には多めの運搬機器を配置しているため、影響度は相対的には大きくなかった。 本研究の過程で合わせて衛星画像解析から圃場をその他の土地利用から分離してポリゴンとして抽出する方法の構築も行った。
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