研究課題/領域番号 |
15K18753
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研究機関 | 釧路公立大学 |
研究代表者 |
三輪 加奈 釧路公立大学, 経済学部, 准教授 (00552001)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 社会経済農学 / 開発途上国の農村開発 / 貧困削減 / カンボジア |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、開発途上国のひとつであるカンボジアの農村部における、子どもの健康・栄養状態および認知発達(cognitive development)に焦点をあて、それらの決定因を、計量経済学的な実証分析により明らかにすることである。 令和元年(平成31年)度は、9月にカンボジアへ渡航し、本研究の調査対象地域であるコンポンスプー州とタケオ州の農村を訪問し、村長への聞き取りや40世帯程度への家計聞き取り調査を実施した。これは今後の(本格的な)調査のための、予備調査という位置づけである。この調査より、カンボジア経済を牽引している縫製・縫靴業の工場が、ここ数年で調査村の周辺にもいくつか作られ、多くの村人がそこに働きに出ており(世帯の誰か1人は工員という状況)、調査村周辺での非農業部門の雇用機会の拡大がみられることがわかった。 また、本研究と関連する研究として、Cambodia Demographic and Health Survey(DHS:人口保健調査)の4回分(4年間分)データを用いて、全国規模での母親の就業が子どもの栄養状態に与える影響についての分析研究を進め、"Impact of Maternal Labor Force Participation on Child Nutrition: Analysis of DHS data from Cambodia"と題して学会報告を行った。分析には傾向スコアマッチング法を用い、母親の就労、特に非農業部門への就労が子どもの身長と体重で測った栄養状態に対して正に有意な影響を与えているという結果が得られている。 以上の予備調査と分析研究は、今後の研究の基礎的な情報として有用であること、また、分析の過程で今後の実地調査で新たに収集すべき情報・データも明らかになったことから、次年度以降の研究につながる成果であったと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究と関連する先行研究のレビューや分析手法等に関する文献研究、関連する分析研究などは進んでおり、予備調査も実施できたものの、家庭の事情を主な理由として、カンボジアでの長期の(本格的な)実地調査が実施できておらず、本研究の課題の分析に必要なデータを十分に得られていないため。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度においては、引き続き先行研究レビューと文献研究を進めるとともに、カンボジアにおいて本調査を実施することを目標とし、調査に向けた準備も推進していく所存である。ただし、昨今の新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響により、実地調査の実施が困難となる可能性もあり、その場合には既存のデータなどを用いた研究分析を中心に進めることとする。
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次年度使用額が生じた理由 |
予備調査の実施にとどまり、本調査が実施できていないため。
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