本研究は,「応力発光技術」および「逆解析」を応用した構造物の健全度診断手法を提案し,農業水利施設の効率的な維持管理や災害に強い農村環境の実現に貢献することを目的とする.以下の事項を研究目標に掲げ、研究期間内にこれらの事項の達成を目指す. (a)最新の技術である応力発光技術を既設構造物の点検・計測に応用し,農業水利施設を対象とした新しい計測技術を確立する。 (b)応力発光技術によって得られる高密度の時空間データを厳密な逆解析の理論と組み合わせ,高度な農業水利施設の健全度診断手法を新たに提案する。さらに,提案した計測技術や健全度診断手法の実務への浸透を図るため,原位置で容易に利用可能な健全度診断ソフトウェアを開発する。 本年度の目的は,応力発光強度と応力やひずみなどの物理量との相関を求めることであり,そのために応力発光強度の計測が可能な装置の開発と基礎実験を実施した.応力発光強度の定量化について,オーソライズされた方法は無いため,専門業者と打合せの上,応力発光強度検出装置を新たに開発した.その後,開発した応力発光強度検出装置を用いて,応力発光強度の計測を試みたが,種々の実験条件の確認に時間を要し,当初計画していたような実験をすべて行うことができなかった.
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