研究課題
本研究は、植物の道管、篩管における元素輸送の解析を目的とした、RIライブイメージング技術の高度化である。私たちが独自に開発を行っているライブイメージングシステム(RRIS)では、道管、篩管を分別する解像度がない。そこで、生細胞である篩管を熱処理を行い、篩管流を止めた上で元素動態の解析を行った。解析にはMg-28、およびP-32を用いた。その結果、Mg-28においては、加熱処理による速度変化はほとんど見られなかった。この結果より、Mg吸収24h以内においては、花茎のMg輸送は道管流が大きな割合を占めることが示唆された。P-32においては、輸送速度が半減した。つぎに、道管流の解析を目的として、光が植物の輸送にどのような影響を与えるかを解析した。具体的には、イネに各RIを投与した後0-5時間は光を与え、5-10時間の5時間は一切光を与えず、光の有無による元素輸送を解析した。解析には、Mg-32、P-32、K-42、Ca-45、およびCs-137を用いた。その結果、P-32に関しては、光照射がなくなると、元素輸送は大きく低下した。一方でCa-45に関しては、光の有無による輸送の影響はなかった。つまり、Pは水の流れに伴って輸送されている一方で、Mg, Ca,の輸送は水の流れに影響を受けないと考えられる。さらには、K-42およびCs-137を比較すると、Cs-137は光の消失により、根から地上部への輸送が減少した一方で、K-42は光の影響を受けなかった。この結果は、セシウムとカリウムでは輸送経路が異なることが考えられる。なお、上記の研究成果をそれぞれ国際学会誌にて公表している。
すべて 2017 2016 その他
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1007/s10967-017-5193-2
http://park.itc.u-tokyo.ac.jp/radio-plantphys/themes.html