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2017 年度 実績報告書

低温における損傷菌の回復及びその検出法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 15K18762
研究機関愛媛大学

研究代表者

森松 和也  愛媛大学, 農学研究科, 助教 (70746742)

研究期間 (年度) 2015-04-01 – 2018-03-31
キーワード損傷菌 / 高圧損傷 / 熱損傷 / 大腸菌
研究実績の概要

本研究では殺菌処理により発生する損傷菌を考慮した衛生管理手法の提案を最終目的としており、平成29年度では熱損傷菌と高圧損傷菌の動態の違いについて研究を行った。
大腸菌を対象とし、熱処理および高圧処理により損傷菌をそれぞれ調製し、液体培地および平板培地での培養を行った。なお、液体培地にはTSB、平板培地には標準寒天培地を用いた。液体培地における培養では、高圧損傷菌は増殖可能温度以下(5 ℃以下)でも損傷回復が一部進行し、菌数が増加していくことが前年度までの報告と同様に確認された。また、増殖可能温度域では、損傷回復による菌数増加と共に誘導期の延長が示されるものの、健常菌と同様に増殖による菌数増加を示した。一方、熱損傷菌は培養温度に関わらず菌数が減少し、低温下(15 ℃以下)では最終的には完全に死滅することを確認した。25 ℃以上の培養では、一時的な菌数減少が示されるものの、一定時間経過後、健常菌と同様に増殖による菌数増加を示した。平板培地塗抹培養では、高圧損傷菌が培養温度の低下と共に検出数が増加するのに対し、熱損傷菌は培養温度の上昇と共に検出数が増加した。以上のように、同一の菌種であっても損傷が発生する機序により損傷菌の動態が大きく異なることを実験的に明らかにした。従来の食品の殺菌工程では熱処理が主流であるものの、殺菌工程に高圧処理を採用した高圧加工食品の販売が増えつつある現状を鑑みると、本研究成果は食品衛生管理の高度化を目指す上で欠かすことのできないデータであると思われる。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 細菌の高圧不活性化における損傷・回復2018

    • 著者名/発表者名
      山本 和貴, 木村 啓太郎, 稲岡 隆史, 森松 和也, 中浦 嘉子
    • 雑誌名

      日本食品科学工学会誌

      巻: 65 ページ: 154-162

    • DOI

      https://doi.org/10.3136/nskkk.65.154

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 高圧処理により損傷したサルモネラ属菌の平板培養における培養温度の影響2017

    • 著者名/発表者名
      森松和也、中浦嘉子、山本和貴、稲岡隆史、木村啓太郎
    • 学会等名
      農業食料工学会第76回( 2017 年度)年次大会
  • [学会発表] サルモネラ属菌の低温での高圧損傷・回復2017

    • 著者名/発表者名
      森松和也、中浦嘉子、山本和貴、稲岡隆史、木村啓太郎
    • 学会等名
      損傷菌セミナー2017
  • [学会発表] 高圧処理による損傷大腸菌及び損傷リステリアの回復挙動2017

    • 著者名/発表者名
      中浦嘉子、森松和也、廣瀬美佳、稲岡隆史、木村啓太郎、山本和貴
    • 学会等名
      損傷菌セミナー2017
  • [学会発表] 高圧損傷大腸菌の検出に及ぼす培養温度及び冷蔵保存の影響2017

    • 著者名/発表者名
      中浦嘉子、SOK Claudia、大脇静香、森松和也、稲岡隆史、木村啓太郎、山本和貴
    • 学会等名
      損傷菌セミナー2017
  • [学会発表] 高圧損傷した枯草菌栄養細胞における遺伝子発現解析2017

    • 著者名/発表者名
      稲岡隆史、Nguyen Thi Minh Huyen、中井雄治、森松和也、木村啓太郎、中浦嘉子、山本和貴
    • 学会等名
      2017年度生命科学系学会合同年次大会
  • [学会発表] 高圧損傷枯草菌の回復過程における遺伝子発現プロファイル2017

    • 著者名/発表者名
      稲岡隆史、Nguyen Thi Minh Huyen、中井雄治、森松和也、木村啓太郎、中浦嘉子、山本和貴
    • 学会等名
      環境微生物系学会合同大会2017
  • [学会発表] 高圧損傷菌の損傷回復とコロニー形成2017

    • 著者名/発表者名
      森松和也
    • 学会等名
      【第2回】損傷菌の評価・制御への新しいアプローチ
    • 招待講演

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公開日: 2018-12-17  

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