研究課題/領域番号 |
15K18767
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
草間 和哉 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任助教 (30579149)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | IFNT / 着床 / エクソソーム / 妊娠免疫 |
研究実績の概要 |
IFNTの発現調節機構の解明は、転写因子TEAD2、TEAD4とYAP1がIFNT発現の増加だけでなく減少にも関与していることを明らかにし、さらに2つのIFNTの発現調節機構の違いも明らかにした(投稿済み)。 ウシ子宮内における2つのIFNTの子宮内膜上皮細胞への効果、すなわち胚と子宮内膜のコミュニケーション機構はRNAシーケンスにより解析し、妊娠免疫に関連している作用やシグナル伝達機構を網羅的に明らかにした(投稿済み)。また、2つのIFNTがほぼ同じ作用(誘導される遺伝子発現群)を有していることや、転写因子であるFOXS1を介して、複雑な遺伝子発現パターンを調節していることも明らかにした。 ヒツジ子宮内において明らかにしたエクソソーム(細胞外に分泌されるタンパク質や核酸などを含む小胞)の着床期における役割がウシにおいても見られるか検討を行なっており、現在、ウシのエクソソームに含まれる全タンパク質を解析している。さらに、ウシ胚から放出されるエクソソームがIFNTを含んでることも明らかにしており、このエクソソームが子宮内膜上皮細胞に取り込まれることで、IFNT誘導因子であるISG15が発現上昇するか、また妊娠免疫と関連するかも解析中である。 さらに、ウシ子宮内に多く見られた自然免疫関連因子が、妊娠期の生体内においてどのように関与しているかマウスを用いて解析したところ、妊娠中期から後期においてiC3bが免疫抑制(抗炎症)効果を持つことを明らかにした(現在投稿中)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
27年度の成果から、当初の計画であるIFNT誘導因子に加えて、自然免疫因子やエクソソームなどの因子が妊娠の免疫機構に複雑に関与していることを明らかにした。28年度においては、IFNT誘導因子ISG15の機能解析が主な目的である。ウシ子宮内のエクソソームがIFNTを含んでおり、ISG15と関連していることを明らかにしている。現在、エクソソーム中の全タンパク質を網羅的に解析しており、さらにエクソソームの子宮上皮への役割も解析している。これらの解析結果により28年度の目的は達成されるため、計画は順調に進行している。 さらに、妊娠免疫に自然免疫因子が関与しているかマウスモデルを用いて解析しており、その成果も投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
今後、計画通りIFNTに応答する免疫機構を精査ていく。さらに、IFNTを含むウシ子宮内のエクソソームの網羅的タンパク質解析と子宮内膜への効果を継続して解析していく。また、このエクソソームとISG15との関連を明らかにし、妊娠免疫にどのように関与しているのか明らかにしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
RNAシーケンス解析などの大規模解析を予定していたが、年度末までにサンプルを用意できなかったため、その解析のための費用が残った。
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次年度使用額の使用計画 |
RNAシーケンス解析などの大規模解析に使用予定である。
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