研究実績の概要 |
オートファジーは細胞内タンパク質のバルク分解機構である。近年の研究で、骨格筋の成長や機能にオートファジーが深く関与することが明らかとなっているが、一方で、これらの知見を食肉生産に応用させた研究例は少ない。そこで本研究では、肉用牛の産肉成績に与えるオートファジーの影響を調査することを目的とした。 黒毛和種6頭を試験に供し、バイオプシーによって胸最長筋、中殿筋および半膜様筋から骨格筋サンプルを採取した。出荷までに肥育段階に応じて計4回のバイオプシーを実施予定であるが、本年度はそのうち3回を実施した。採取した骨格筋からtotal RNAを抽出し、定量的PCR法でオートファジー関連遺伝子(LC3, ATG7, GABARAPおよび Beclin-1)の発現量を調査した。また、筋肉の分化・成長に関与する遺伝子(MyoDおよび Myostatin)についても同様の調査を行った。 オートファジー関連遺伝子は、肥育段階に従って発現量が変動することが明らかになった。また、骨格筋部位による遺伝子発現量の差も確認された。各遺伝子の発現について相関関係を調べたところ、オートファジー関連遺伝子間だけでなく、オートファジー関連遺伝子とMyoDの間にも正の相関関係が認められた。また、Myostatin発現量が体重と負の相関を示す一方で、オートファジー関連遺伝子やMyoDの発現量は体重と正の相関を示すことが明らかとなった。
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