研究課題/領域番号 |
15K18774
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
小針 大助 茨城大学, 農学部, 准教授 (50396595)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 赤外線深度センサー / 分娩 / 肉牛 / 尾上げ / 休息 |
研究実績の概要 |
本研究では、3次元情報を扱うことができる赤外線深度センサーカメラを用いた和牛の非侵襲的分娩予測技術の開発を目的として、予測指標となる和牛の分娩前24時間の行動反応の特定と赤外線深度センサーによるそれら行動反応の記録精度についての調査を試みた。供試牛として黒毛和種繁殖牛8頭を供試し、赤外線深度センサーカメラ(ASUS社製のXtion PRO LIVE。以下深度センサー)及び暗視カメラを使用し行動を記録した。調査項目は分娩房内での姿勢変化(立位・伏臥)、回転(分娩房内を旋回する行動)、尾挙げ、屈曲(頭部を腹部側に向ける行動)の4項目とし、暗視カメラではそれぞれの開始・終了時刻を、深度センサーでは録画時に対象行動の実施の有無を記録した。 分娩前の姿勢変化頻度は、分娩6時間前付近から徐々に中央値の上昇がみられはじめ、3時間前には一度低下したが、2時間前に再び上昇し、8頭中6頭で1時間に5回以上姿勢が変化するようになった。一方、尾挙げ行動割合も、5時間前から増加し始め、3時間前には8頭中6頭で、1時間の尾上げ割合が50%を超え、2時間前には8頭中7頭で100%、1時間前にはすべての個体で100%となった。一方、回転、屈曲については、出現頻度が少なかったり、明確な特徴が見られなかった。指標行動とした姿勢変化、回転、屈曲行動は、いずれも赤外線深度センサーによる検知精度は非常に高かったが、尾挙げについては微妙な挙動の変化をとらえるためにはさらなる工夫が必要であると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
分娩動画は暗視カメラでの記録ができていたため、分娩前行動の記録はできている。ただ赤外線深度センサーによるデータ取得が、日射により若干欠損したため、今年度対策を立て不足分を補充予定。
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今後の研究の推進方策 |
28年度は、指標行動となる分娩前の尾上げならびに姿勢変化について骨格認識プログラムの当てはめを実施するとともに、新たに動画データから分娩前24時間の活動量の計測を試みる。また、次年度の分娩予測モデル解析のため各指標行動のデータの集積を図る。
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次年度使用額が生じた理由 |
消耗品への支出が若干少なかったため、残額が生じているが、助成金はおおむね予定通り執行している。
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次年度使用額の使用計画 |
センサーデータの解析が中心となる年となるため、引き続き3次元データサンプリング機器の維持経費と動画解析に使用するプログラム経費を中心に使用する。またデータがたまってきているため記録メディア類への使用も考慮する。
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