研究実績の概要 |
本研究では、赤外線深度センサーカメラ(IR depth sensor camera)という3次元情報の計測が可能なセンサーカメラを用いて、繁殖牛を対象とした簡易かつ高精度の分娩予測技術の研究を行った。 昨年までの我々の研究から、本センサーカメラを使用して繁殖牛の分娩前に見られるいくつかの特徴的な行動(姿勢変化・尾挙上行動)を自動で検知できること、さらには、赤外線強度の強い機種を使用し、日光の入射量を制限する環境条件を整えることで、姿勢変化については人の肉眼による観察との一致率がほぼ100%、尾挙上行動についても80%とそれらのデータ取得精度を高めることができることが明らかとなった。 最終年度は、出生子牛の体重、子牛の性別、母牛の産次数を予測変数として、予測指標行動の一つである尾挙上行動の生起時間との関係を解析した。その結果、母牛の産次(R=0.44, P<0.1)と子牛の性別(オス:153.75分, メス:120分, P=0.1)が尾挙上行動の生起時間との関連性が認められた。 さらに、複数年にわたる分娩データを得られた個体を対象に、同一個体内における分娩前行動の変異について解析した結果、姿勢変化(R=0.575, P<0.05)および尾挙上時間(R=0.576, P<0.05)には個体間で高い相関が認められたことから、同じ個体の場合、前回の分娩行動に関するパラメーターを追加することから分娩の予測精度の向上が図れるものと考えられた。
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