研究課題/領域番号 |
15K18775
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研究機関 | 京都府立大学 |
研究代表者 |
土田 さやか 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 特任助教 (40734687)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 共生腸内細菌 / 乳酸菌 / プロバイオティクス / 採食エンリッチメント / 野生動物 |
研究実績の概要 |
採食エンリッチメント技術に、野生下の採食物の給与を取り入れる場合、飼育下で消失してしまった野生の腸内細菌を、プロバイオティクスとして給与することが対応策として有効であると考えられる。本研究で、野生と飼育下のニシローランドゴリラ及び、野生マウンテンゴリラから共通して分離される、ゴリラに特徴的な乳酸菌Lactobacillus gorillaeが存在することが明らかとなった。これらのゴリラ由来株について、さらに詳細な生理性状試験を実施したところ、ニシローランドゴリラ由来株とマウンテンゴリラ由来株の持つ酵素活性に違いがあり、野生マウンテンゴリラ由来株が、最も多様な基質に対して酵素活性を有することが確認された。そこでさらに詳細な系統解析を行うために、Multilocus Sequence Typingを行なった結果、飼育及び野生ニシローランドゴリラ由来株と、野生マウンテンゴリラ由来株は、異なったクラスターに分かれることが明らかとなった。この結果により、L. gorillaeは宿主であるゴリラと同様に、亜種レベルで異なる可能性が示唆された。 遺伝形質解析に関しては、昨年度行なったニシローランドゴリラ由来株の全ゲノム解析に加え、マウンテンゴリラ由来株の全ゲノム解析を実施した。現在、MG-RASTサーバーを利用して、アノテーション解析を行なっている。それぞれの由来株の遺伝的差異を明らかにし、ゴリラ用プロバイオティクスとして有用な菌株を選抜していく必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画通り、候補菌の表現形質及びゲノム構造の解析を進めており、概ね順調に進展している。また、本研究が評価され、2017年3月15日に朝日新聞社「朝日21関西スクエア賞」を受賞した。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、表現形質及びゲノム構造の解析を行い、ゴリラ用プロバイオティクスとしての有用性を検定する。特に、病原細菌に対する抗菌性を中心とした検定を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
ゲノム解析を外注する予定であったが、研究協力者の協力を得て、無償で実施が可能となったため。
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次年度使用額の使用計画 |
初年度に引き続き、アフリカ渡航を予定していたが、前年度も現地カウンターパートの事情により延期になっている。今年度はウガンダではなく、ガボンのカウンターパートと調整をし、渡航する。
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