研究課題
レストンエボラウイルスはフィリピンが起源と考えられているエボラウイルスの1種である.これまでにザンビア共和国に飛来する果食コウモリで行った調査から,レストンエボラウイルスがサハラ以南アフリカに分布している可能性を見いだした.本研究では,レストンエボラウイルスの自然宿主と考えられているブタにおいてザンビア共和国で調査を行い,本ウイルスがアジアのみならずアフリカにも分布しているか明らかにする.平成28年度は,まずはじめにレストンエボラウイルス組換え糖蛋白質(Reston GP-His)を抗原としたELISA法がブタ血清中IgGと反応する至適条件を検討した.条件検討の後,2011年から2016年にザンビア国内の10地域で採取したブタ血清1082検体をELISAで測定し,得られたデータをスミルノフ・グラブス検定にて統計学的に解析した.その結果,10検体で陽性が疑われた(p<0.05).このことは,アジアのエボラウイルスと考えられているレストンエボラウイルスの感染がアフリカのブタで認められる可能性を示唆するものであった.ELISA陽性検体に関してはさらなる解析が必要であり,今後ウエスタンブロット法による定性的な解析を行った上,結果を総合的に判断する.現在,ウエスタンブロット法の条件検討を行っている.検体の一部については,核酸を抽出しOne-step RT-PCR法によりレストンエボラウイルスの遺伝子検出を試みたが,これまでに遺伝子は検出されていない.
3: やや遅れている
自然界でのレストンエボラウイルスの分布を確認するために,ブタだけでなく野生イボイノシシの解析も行いたいが血清の採取に至っていない.また血清疫学的解析に対して分子疫学的解析の進捗がやや遅れている.
H29年度は,ELISA陽性検体を中心にウエスタンブロット法により定性的解析を行う.また,血清から核酸を抽出しOne-step RT-PCR法にてレストンエボラウイルスの遺伝子検出を行うとともに,ブタでのレストンエボラウイルス感染時に共感染が認められているブタ繁殖・呼吸障害症候群ウイルス(PRRSV)や,ブタでの免疫低下起因ウイルスとして知られるブタサーコウイルス2型(PCV2)の遺伝子検出も試みる.
すべて 2017 2016 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
Transbound Emerg Dis
巻: - ページ: -
10.1111/tbed.12635