研究課題/領域番号 |
15K18786
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
関口 敏 宮崎大学, 農学部, 准教授 (10462780)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | PED / 不顕性感染 / 能動的サーベイランス |
研究実績の概要 |
本研究では、能動的サーベイランスを用いて豚流行性下痢(PED)ウイルスの感染農場と非感染農場を特定し、その相違点を明らかにすることでPEDの感染拡大要因の解明を行うことを目的とする。27年度は能動的サーベイランスを用いて感染農場と非感染農場の鑑別を行った。糞便を用いたPCRによる遺伝子検査では、糞便へのウイルス排泄期間は短いため検出感度は満足できるものではない。そこで本研究では肥育豚の血中抗体価を測定し感染の有無を決定する中和試験を採用した。検査に用いるサンプルは九州地域内の2か所のと畜場に出荷された肥育豚(約190日齢)の血液(血清)とし、食肉衛生検査所の協力を得て豚血液を採取した。サンプル数は、13戸の発生農場から298サンプル、63戸の非発生農場から1342サンプルの合計76農場、1640サンプルである。これらのサンプルについて中和試験を行ったところ、発生農場の陽性率は100%(全13農場中、陽性13農場)、非発生農場の陽性率は15.9%(全63農場中、陽性10農場)であった。これらの結果は非発生農場の中に不顕性感染農場が存在していたことを示しており、感染農場から非感染農場にPEDウイルスが伝播する重要なリスク因子の一つと考えられた。これらの研究成果は、第7回国際新興・再興豚病学会(7th International Symposium on Emerging and Re-emerging Pig Diseases 2015)および第14回国際獣医疫学・経済学シンポジウム(14th Conference of the International Society on Veterinary Epidemiology and Economics 2015)にて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に予定していた能動的サーベイランスが完了し、感染農場と非感染農場を識別することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は症例群(感染農場)と対照群(非感染農場)の疫学情報を収集するために、両群に対してアンケート調査を実施する。これにより、症例群と対照群の相違点を解析するために必要なデータを入手することができる。質問票の内容は、これまでの疫学調査から候補因子として考えられるものを中心に、リスク因子および防御因子に関わる項目に関する質問を設定する。具体的には、農場規模や飼養衛生管理の方法、防疫対策の内容、農場の地理的条件、飼料の種類、農場を出入りする人や車両、堆肥の取扱い、野生動物の侵入の有無などである。
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次年度使用額が生じた理由 |
能動的サーベイランスで入手したサンプルの一部は未検査であり、検査に必要な試薬を購入していないため。
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次年度使用額の使用計画 |
引き続き能動的サーベイランスを行い、中和試験に使用するための試薬等を購入する。
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