研究課題/領域番号 |
15K18786
|
研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
関口 敏 宮崎大学, 農学部, 准教授 (10462780)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 能動的サーベイランス / 不顕性感染 / PEDウイルス |
研究実績の概要 |
28年度は能動的サーベイランスによって特定した感染農場と非感染農場の特徴について比較・分析を行った。調査対象地域は宮崎県内のA地域およびB地域とした。検査試料はA地域およびB地域それぞれに所在すると畜場にて採材を行った。感染農場における陽性を示した個体の割合は発生農場で平均46.7%±0.25、非発生農場で平均33.3%±0.30で、両群間における有意な差は認められなかった。このことは、PEDウイルスに感染した農場では症状の有無に関わらず、ウイルスが群内で伝播していることを意味している。また中和試験の抗体価は発生農場由来の感染豚が平均で4.3±6.97、非発生農場由来の感染豚が平均で2.5±1.00で、両群に有意な差は認められなかった。本研究では中和試験による血清学的な検査によって感染歴の有無を診断しており、ウイルス自体の存在を証明するものではない。そのため感染リスクを直接的に評価することは難しいが、中和試験を用いれば、PEDウイルスに対する特異抗体が検出でき、感染の有無を正確に把握することができる。PEDワクチンは母豚に接種するため肥育豚を調査対象とする今回のサーベイには影響がない。また、中和試験で用いる血液の採材は、作業の効率化を図るためと畜場で実施したことも本研究の特徴である。抗体価の結果から、発生農場と不顕性感染農場の感染リスクはほぼ同等と考えられた。よって、感染農場と非感染農場を明確に識別することは、衛生管理上、非常に重要であると思われる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定通り、感染農場と非感染農場を識別し、両者の特徴・相違点を分析できた。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は本研究の成果を食肉衛生検査所や家畜保健衛生所にフィードバックし、衛生管理対策の強化や疫学調査研究に活用する予定である。
|