研究課題/領域番号 |
15K18788
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研究機関 | 帯広畜産大学 |
研究代表者 |
田川 道人 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教 (00749468)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 可溶性CTLA-4 / CTLA-4 / 自己免疫疾患 / 診断マーカー / 免疫チェックポイント |
研究実績の概要 |
健康犬より末梢血を採取し、PBMCを分離後、常法に従いmRNAを抽出、cDNAを作成した。その後、犬CTLA-4の遺伝子配列からプライマーを作成し、RT-PCRを行った。その結果、100bp程度長さの異なる2本のバンドが確認された。PCR産物をクローニングし、その配列をシーケンス解析したところ、長いほうのバンドは犬CTLA-4と100%一致する塩基配列であった。もう一方の短いバンドは犬CTLA-4の塩基配列のうち、膜貫通領域であるExon3が欠損したものであったことから、可溶性CTLA-4であると思われた。犬においてもヒトと同様の機序で可溶性CTLA-4が作られているものと思われた。また、犬可溶性CTLA-4のアミノ酸配列を確認したところ、cytoplasmic tailのC末端の3アミノ酸が欠損しており、これまで可溶性CTLA-4の存在が知られている、ヒト、マウス、ラットでは見られない変異であった。同様の手技を複数の健常犬で行ったところ、全て同一の結果が得られた。 次に健常犬の血清を用いて、mouse-抗ヒトCTLA-4mAbを用い免疫沈降を行ったのち、Western blottingを行った。その結果、25kDa付近に蛋白発現を認め、ヒト可溶性CTLA-4と同一の分子量であることから犬においても血清中に可溶性CTLA-4が存在し、血清中に分泌されているものと思われた。 また、診断マーカーとしての有用性を評価するため、臨床例(とくに自己免疫疾患)の血清サンプルを収集中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
犬においては計画通り可溶性CTLA-4の発現を確認できており、計画通りに推移しているものと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
臨床サンプルを収集するとともに、まずはWestern blottingにより臨床例での発現を評価する必要がある。良好な結果が得られれば、ELISA等を用い、診断マーカーとしての有用性を多様な自己免疫疾患犬の血清を用い評価する予定である。臨床サンプルの収集については当大学の事情もありまだ十分量に達していない。28年度は他大学に協力を要請するなどし、より円滑に進める必要があるかもしれない。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進捗が比較的順調であったため、実験を繰り返し行う必要がなくなり不必要な支出を防ぐことができた。また、臨床サンプルの収集が十分量ではなく、当初予定していたELISA系への出費がなくなったため。
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次年度使用額の使用計画 |
翌年度はELISA系の確立など出費が多くかかるものと予想されるため、その分の補填として使用する。
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