研究課題
イヌのリンパ腫におけるエピジェネティクス特にDNAメチル化に関し、次世代シークエンサーを用いて新たな知見を得ることによってイヌのリンパ腫のメカニズムを解明することにつなげるため、平成28年度は以下の項目について検討を行った。前年度の確立したDREAM(Digital Restriction Enzyme Analysis of Methylation)法によるゲノムワイドなDNAメチル化の変化の検出申請者らが樹立したイヌリンパ腫細胞株5株よりDNAを抽出、制限酵素処理を行った後、アダプター結合からPCRを行うことによって、次世代シークエンサーに最適な目的のサイズを持ったライブラリを作製した。次世代シークエンサーによる解析を行ったところ、全ての検体において約1000CpGサイトのDNAメチル化の定量的な解析が可能であった。実際にこれらの配列を用いて解析をおこなったところ、DNAメチル化状態の類似性によって分類した結果、正常血液サンプルとリンパ腫細胞株の区別が可能であり、また、リンパ腫細胞株間においても異なるDNAメチル化状態が存在することが示された。さらに、各々のリンパ腫細胞株において1000~4000個の高メチル化部位、および3000~10,000個の低メチル化部位が発見された。これらのうち、特に高メチル化部位の近傍には腫瘍に関連すると考えられる遺伝子が認められた。現在この結果に関して、論文投稿中である。さらに、イヌのリンパ腫自然発症例24例についても同様の解析・検討を行ったところ、症例によって異なるゲノムワイドなDNAメチル化の変化が検出され、これを用いてグループ分けすることによって、臨床的なパラメータと独立した予後因子となる可能性が示された。現在、この特異的なDNAメチル化の起こるメカニズムとさらなる症例への応用を検討している。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件)
Leukemia
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
doi: 10.1038/leu.2017.12.
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