研究課題
本研究には、遺伝的に血液を欠損している動物あるいは臓器を欠損している動物を用意する必要がある。昨年度の研究により、CRISPR/Cas9システムを用いることで、F0世代でもホモノックアウトマウスを用意できるようになった。そこで、実際に血液欠損マウスおよび膵臓欠損マウスを用意できるかどうかを試みたところ、それらのマウスを80-90%の高い効率で用意することに成功した。それらのマウスは血液欠損あるいは膵臓欠損のため出生直後に死亡した。本研究の目的は、胎仔への幹細胞移植による血液あるいは臓器作出であるため、異系統(GFP)由来の血液あるいは膵臓を生産することである。そこで、CRISPR/Cas9システムを用いることで用意した血液欠損マウスあるいは膵臓欠損マウスに、それらのマウスに異系統由来の造血幹細胞あるいは膵前駆細胞を移植を実施した。その結果、造血幹細胞移植を施したマウス胎仔は出生後も生存し、血液を観察したところ、GFP蛍光を示しており、異系統の血液が生産されていた。そのマウスは14週齢を過ぎても生存していた。また、造血幹細胞は血液だけではなく免疫細胞も生産することが知られているため、免疫細胞も生産することに成功していると思われる。今後、それらのマウスについて、血液や免疫細胞に関する詳細な解析が必要である。また、膵前駆細胞移植についても、マウス胎仔は出生後にも生存しており、開腹したところ、GFP蛍光を示す細胞を確認することに成功した。
2: おおむね順調に進展している
ゲノム編集技術を用いることで、実験に必要な血液欠損動物あるいは膵臓欠損動物を安定的に供給できるようになっており、さらに、インユーテロ移植法による細胞移植により、異系統由来の血液を生産することに成功したため。膵臓についても、一部ではあるが、移植細胞由来のGFP陽性細胞を確認できている。今後の研究により、より多くの膵島細胞を用意することが期待できるため。
血液生産に関しては、ヒト造血幹細胞を移植することが可能かを検証する。膵臓生産に関しては、膵臓が欠損するタイミングよりも遅く細胞移植を施しているため、より発生段階の早いマウス胎仔に移植可能かを検討するとともに、膵臓を欠損させるタイミングをより遅い発生ステージにできないかを検討する。
インユーテロ移植に使用する膵臓欠損動物を用意するにあたって、ある遺伝子をノックアウトした。実際に膵臓を欠損動物を用意することはできたが、研究をすすめる中で、インユーテロ移植するには対象とする遺伝子を変更した方が良いことが判明した。そのため、ノックアウトする遺伝子を変更・検討するための情報収集に時間を要している。次年度使用額を用い、別の遺伝子を対象としたノックアウトを実施し、膵臓欠損動物を用意する予定である。
関 信輔, 低温生物工学会 奨励賞受賞秋田魁新報掲載, 2017年4月18日, 27面 凍結細胞からメダカ誕生, 河北新報掲載, 2017年9月6日, 22面, 共同通信2018年1月5日, 魚の絶滅防止へ 代理親 クニマスも、絶滅危惧種に応用, 日本経済新聞掲載, 2018年1月10日, 12面, 毎日新聞, 2018年1月12日, 21面,
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