研究課題/領域番号 |
15K18806
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
松山 秀一 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産研究部門 飼養管理技術研究領域, 主任研究員 (50455317)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 子宮 / 幹細胞 / 牛 |
研究実績の概要 |
経産牛は未経産牛より受胎性が低いことが知られている。分娩時には、胎子の娩出とともに胎盤が剥離し、子宮は大きく損傷を受ける一方で、その後速やかに子宮内膜が再生され、子宮の修復がおこる。申請者は、経産牛における受胎率の低下は、分娩後の子宮内膜再生の不具合に原因があるのではないかと考えているが、ウシの子宮内膜再生メカニズムは未だ解明されていない。本研究ではウシの子宮内膜再生メカニズムを明らかにすることを目的とし、ウシの子宮内膜上皮細胞に存在するSide population (SP) 細胞および小型子宮内膜上皮細胞で特異的に発現する遺伝子について探索するとともに、分娩後におけるSP細胞の経日的な発現パターンについて検討を行った。ウシ子宮内膜上皮SP細胞および小型子宮内膜上皮細胞の遺伝子発現についてマイクロアレイ解析を行った結果、ウシ子宮内膜上皮SP細胞では組織・上皮増殖や細胞接着、免疫機能に関わる遺伝子の発現量が高かったが、小型子宮内膜上皮細胞で特異的に発現する遺伝子はなかった。また、ウシ子宮内膜上皮SP細胞および小型子宮内膜上皮細胞は、骨、脂肪、軟骨等の中胚葉由来組織に分化しなかった一方で、子宮内膜間質細胞は骨芽細胞や脂肪細胞への分化能を有することが明らかとなった。分娩後の子宮内膜におけるSP細胞の割合について、分娩後10日、30日、50日、100日で子宮内膜組織をバイオプシーによって採取し、採取した子宮内膜組織から酵素処理によって得られた細胞をフローサイトメトリー解析によって検討した結果、分娩後10日目にはSP細胞の割合が低く、その後徐々に増加することが明らかとなった。今後、このようなSP細胞の発現パターンに影響を及ぼす因子を探索し、分娩後における子宮内膜再生メカニズムを解明する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
分娩後経日的に採取した子宮内膜組織における遺伝子発現変化の網羅的解析が未実施であり、研究の進行がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は分娩後経日的に採取した子宮内膜組織における遺伝子発現変化の網羅的解析を行うとともに、当初予定していたウシ子宮内膜SP細胞の発現パターンに関与する因子について検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度は研究の進行が遅れたため、予定していた研究費の遂行ができず研究費の繰り越しが生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度は、前年度に未実施であった実験を行うとともに当初予定していた研究を行う。 前年度に実施できなかった分娩後経日的に採取した子宮内膜組織における遺伝子発現変化の網羅的解析を行う必要があり、平成27年度配分額のうち、60万円をマイクロアレイデータ解析ソフト費に、40万円を一般試薬、消耗品費に、20万円を実験補助員の賃金、10万円を学会発表等の旅費に用いる予定である。
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