本研究は、カイコ濃核病ウイルス1型の感染に対して、独立に完全抵抗性を示す2種類の遺伝子Nid-1とnsd-1の単離とその作用機構の解明を目的としている。Nid-1を明らかにするため、ウイルス接種および非接種の抵抗性カイコを用いたトランスクリプトーム解析を進めた。両者で発現量が異なる遺伝子を数多く見つけ出すことに成功したが、Nid-1の責任領域(カイコ第17番染色体上の約260 kb)内にマップする遺伝子はなかった。一方nsd-1は、原因遺伝子の単離に成功した。その遺伝子はウイルスの感染組織である中腸の膜タンパク質をコードしており、ウイルスのレセプターとして機能していると考えられた。
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