無卵油(oel)の原因遺伝子を特定するために、脂肪体由来のRNAをRNA-seq解析に供試した。得られた約2000万リードの配列をカイコゲノムへマッピングし、無卵油特異的な突然変異を探索した。すでにoel座は222 kbの領域に絞り込まれているので、当該領域にマッピングされたリードの配列を調査したところ、一つのジーンモデルに対応する領域において、無卵油ではフレームシフトを生じさせる1塩基欠失が存在することが判明した。この突然変異は、無卵油幼虫から抽出した脂肪体および皮膚由来のRNAを利用したRT-PCRとその後のシーケンス解析においても再確認されたことから、無卵油変異体の原因遺伝子候補として極めて有力である。 すでに、IonProton次世代シーケンサーを用いて無卵油幼虫1個体のゲノムをリシーケンスしている。平成28年度の研究状況報告書において、リシーケンスデータからは無卵油の原因遺伝子を特定できなかったことを報告した。改めてリシーケンスデータを参照したところ、RNA-seq解析で同定された原因遺伝子候補が含まれる領域はカバレッジが低く、その影響で無卵油系統に内在する突然変異を見逃していたことが判明した。
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