研究課題/領域番号 |
15K18818
|
研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
宮坂 隆文 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 特任助教 (80635483)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 開墾 / ガバナンス / 植生回復 / ゾーニング / 土地荒廃 / フスタイ国立公園 / 保護地域 / GIS・リモートセンシング |
研究実績の概要 |
本年度は、モンゴルのフスタイ国立公園を対象とし、1.公園管理におけるステークホルダーの役割と連携体制、2.公園管理による植生回復効果、2.公園周辺で進む大規模な開墾による土壌への影響、に関する調査研究を実施した。 1.では関係者への聞き取り調査を行った。公園管理を担っているNGO“フスタイ国立公園トラスト”の代表、各部門長、公園がまたがる3つの行政区との調整役であるフォーカルポイントマネジャーのほか、周辺住民も対象として、公園管理におけるガバナンス構造やゾーニングに応じた実施状況、周辺住民との協力体制などについて明らかにした。 2.に関しては、1990年から2015年までの計17枚のLandsat画像を用いて、公園設置前から現在までの公園内外のエリアにおける植生変動を明らかにした。さらに、フスタイ国立公園トラストから提供されたGISデータを重ね合わせ、公園内の規制レベルが異なる複数のゾーン、公園周辺のバッファーゾーン、3つの行政区といった区域ごとに解析を進めており、1.の結果とあわせて公園管理と植生変動の関係をより詳細に調べている。 3.については、まず公園周辺で開墾を行っている人々(企業を含む)に対し聞き取り調査を行い、それぞれの耕作地における作物種、栽培の手法や履歴などを明らかにし、調査対象となる耕作地を選定した。続いて、選定した耕作地および隣接する草地(対照区)において、深度別に土壌をサンプリングし、体積含水率を測定した。さらに現在、土壌水中の各種イオン濃度の分析も進めており、拡大している開墾が土壌に与える影響を詳細に調べている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
公園管理に関する聞き取り調査については、管理主体であるNGOから十分な協力が得られ、順調に進めることができた。一方、公園管理による植生回復効果については、当初計画ではまずフィールドでの植生調査のため、公園内外で調査地選定を行う予定だった。しかし、上記聞き取りの結果、公園内のゾーンごとの規制の違い、バッファーゾーン内外での公園管理の違い、行政区ごとの社会経済条件の違いなどが明らかになったことから、そういったより詳細な公園管理上の違いと植生変動の関係を捉えるため、衛星画像とGISデータを用いた広域解析を時系列で行うこととした。耕作地における土壌調査に関しては、当初の予定よりも調査地選定が順調に進んだため、計画を前倒ししてサンプリングまで行うことができ、現在土壌試料の解析を進めている。 このように、当初計画からの一部変更はあったものの、研究目的に照らせば発展的な変更であり、全体的には計画以上に進捗したと言うことができる。
|
今後の研究の推進方策 |
内容に一部変更はあったものの、当初計画の方針に変わりはなく、引き続き公園管理による植生回復効果、開墾の土壌への影響に関する調査研究を進め、さらに公園管理が周辺住民の生計に与える影響について調査を開始する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究協力者の調査旅費を全額負担する予定だったが、一部を先方が負担することになったため。
|
次年度使用額の使用計画 |
初年度は調査期間がやや短く、現場の状況に臨機応変に対応する余裕が十分でなかったため、次年度は滞在期間を延ばす予定である。
|