研究課題/領域番号 |
15K18818
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
宮坂 隆文 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 特任助教 (80635483)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ガバナンス / 乾燥地 / 協働型管理 / 土地荒廃 / 菜種 / 放牧地 / 牧民 / 保護地域 |
研究実績の概要 |
モンゴルのフスタイ国立公園及びその周辺地域を対象とし、1.拡大傾向にある開墾・作物生産の持続性について調査すると共に、2.公園管理が周辺住民の生計に与える影響について調査を行った。 昨年度選定し深度別土壌サンプリングを行ったコムギ畑、ナタネ畑、及びそれぞれの耕作地と隣接する草地(対照区)において、継続調査を実施した。なお、コムギ畑については耕作期間の異なる二つのサイトを対象にしている。 この地域では、灌漑はおろか資金不足のため施肥もほとんど行われていない一方で、定期的に休閑は行われている。そのため、作物生産の持続性において休閑による回復効果が重要となる。調査サイトとして今年度休閑する予定の耕作地を選定してあり、実際に休閑していたため、昨年度との比較からその効果を分析した。休閑による土壌水分量の貯水効果が最も高かったのは履歴の浅いコムギ畑であり、履歴の長いコムギ畑でも一定の貯水効果が認められた。一方、ナタネ畑では貯水効果が見られず、むしろ草地に比べて減少していた。来年度、休閑明けの各サイトで継続的にデータを取得し、また現在進めている土壌水中の各種イオン濃度の分析もあわせることで、当該地域の作物生産の持続性をより詳細に明らかにする。 公園管理が周辺住民の生計に与える影響については、周辺住民への聞き取りから、公園の支援の下、生計の多様化により経済状況を向上させている成功例が存在する一方で、生計向上への意識改革が困難で支援効果が見られない例もあり、さらに公園の管理・支援活動を認知していない人々も多い現状が明らかとなった。また、公園がまたがる三つの行政区の社会経済状況の変化について、公園管理主体であるNGOや関連団体が過去に作成した資料(モンゴル語)を複数入手することができた。現在、聞き取り結果をまとめると共に、それらの翻訳と分析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在、当初予定していた1.フスタイ国立公園の管理におけるステークホルダー間の連携体制、2.ゾーニングによる植生回復効果、3.管理対象外の開墾拡大による土地劣化、4.公園周辺住民の生計変化、に関する調査・分析を全て実施中であり、継続モニタリングが必要な3.については初年度から取り組むことができている。よって、おおむね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画の通り、引き続き上記研究課題を推進し、最終年度である来年度にそれらを統合して、管理の総合評価を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究協力者の調査旅費を全額負担する予定だったが、一部を先方が負担することになったため。
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次年度使用額の使用計画 |
現地言語で書かれた貴重な資料を入手することができたため、その翻訳謝金に充てることとしたい。
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