がんは国民の約30% の死因を占めているにもかかわらず、有効な治療法が確立されていない。既存の抗がん剤に対して腫瘍が耐性を獲得する薬剤耐性や抗がん剤による重篤な副作用が深刻な問題となっている。一方で申請者らは、緑茶ポリフェノールEpigallocatechin-3-O –gallate (EGCG) が勃起や血管弛緩を担うセカンドメッセンジャーとして知られているcGMPを介してがん細胞特異的にアポトーシスを誘導することを報告した(Kumazoe et. al. Journal of Clinical Investigation 2013)。そこで本研究ではEGCG のさらなる機構解明を糸口に新規治療戦略の確立を目指した。その結果、これまでがん抑制遺伝子として考えられてきたFOXO3が実はがん幹細胞性に重要であることを明らかにした (Kumazoe et al Oncogene 2016)。また、その下流機構についても解明を終え、現在論文を投稿中である。さらに、EGCGのがん細胞性阻害作用をPDE3阻害剤は顕著に増強することを見出した (Kumazoe et al Scie Rep 2016)。
|