多発性骨髄腫は、形質細胞が骨髄内で異常増殖し、免疫抑制とともに破骨細胞の活性化と骨髄間質細胞の骨芽細胞への分化抑制が同時に起こることで広範な骨破壊性病変が形成される難治性疾患である。本研究課題では、多発性骨髄腫に対して顕著な治癒効果を示した天然マクロライドLL-Z1640-2を基盤として、不斉全合成によってLL-Z1640-2及びその誘導体を合成し、プローブ化による標的タンパク質同定を目指した。その結果、閉環メタセシス反応を鍵段階としてLL-Z1640-2とその全二重結合異性体の合成を達成した。また、本合成経路から多発性骨髄腫細胞に対して強力な細胞傷害活性を示す誘導体も獲得した。
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