マングロマイシンAは、炭素15員環内にδ-ラクトン、多置換テトラヒドロフラン環を有する三環性の歪んだ構造を有し、アフリカ睡眠病の原因虫であるトリパノソーマに著効を示すことから、新規薬剤リードとして有望である。そこで、新規抗トリパノソーマ薬の開発を最終目的に、マングロマイシンAの全合成に着手した。 Al-Salen錯体を用いたβ-ラクトンの立体選択的構築、γ-ヒドロキシケトンのエーテル環化・アルキル化カスケードによる多置換フラン環の立体選択的合成、15員環マクロラクトン化に続くβ-アシロキシエステルのDieckmann環化を鍵に、マングロマイシンAの全合成を達成し、その絶対立体配置を決定した。
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