研究課題/領域番号 |
15K18839
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研究機関 | 明治薬科大学 |
研究代表者 |
林 賢 明治薬科大学, 薬学部, 助教 (50584140)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | ポルフィリン二量体 / アゾ構造 / スイッチ機能 / 不斉反応 / 光異性化 / 触媒 / 酸化反応 / 酸素 |
研究実績の概要 |
光異性化するアゾ構造を持つリンカーで二つの金属ポルフィリンを連結したポルフィリン二量体を構築し、アルケンやCH結合の酸化反応を指標としてこの二量体が光スイッチ機能を持つ酸素酸化触媒として機能することを明らかにする。これらの知見をもとに光スイッチを利用した動的制御による選択的な反応及び不斉触媒反応の新規な方法論を確立することを目的として遂行するものである。 平成27年は、提案するポルフィリン二量体の構築を検討した。二量体の一例として、不斉構造を持つリンカーユニットに持つポルフィリン二量体を構築することができた。この二量体のCDなどの分光学的測定を行った。その結果、溶液中での立体構造は、二つポルフィリンが空間的にね じれた配置をとることが判った。 平成28年は、二量体の一例として、アジン骨格をリンカーユニットに持つポルフィリン二量体を構築することができた。すなわち、当研究室で開発したシリルメチルポルフィリンを経由したホルミルポルフィリンを原料にして、ヒドラジンとの反応により目的のリンカーユニットに持つポルフィリン二量体を構築した。現在、この二量体の分光学的特性を評価している。さらに、この二量体のリンカー部の変換を検討している。 また、本研究に関連して、ケイ素源として HSiMe(OSiMe3)2を用いたIr触媒C-H活性化によるmeso-無置換ポルフィリンへの効率的なβ位選択的シリル基導入反応を開発した。さらに、このシリル基は、緩和な条件で酸化、ハロゲン化、及びクロスカップリング反応により官能基変換することができ、β-シリルポルフィリンが様々な機能を持つポルフィリンを構築する上で有用な合成中間体として利用できることを明らかにし報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画していた触媒の一例として新規なキラルポルフィリン二量体及び新規なアジン骨格をリンカーユニットに持つポルフィリン二量体を構築することに成功した。現在、これらの物性評価を進めている。 また、本研究に関連して、新規なフッ素官能基を持つポルフィリン二量体の構築とその不斉認識能を検討したところ、この二量体が様々なアルコールの非破壊的な絶対配置決定に利用できることを報告した。さらに、このフッ素官能基を持つポルフィリン二量体の不斉応答性についてさらに検討したところ、このポルフィリン二量体がこれまでに報告例のない非破壊的な光学活性エポキシドの絶対配置決定にも利用できることを見出したので、現在、論文投稿の準備を行っている。 さらに、ポルフィリン二量体触媒の原料として利用可能なアミノポルフィリンの効率的合成法を見出し、現在、論文の投稿に向けて準備している。
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今後の研究の推進方策 |
今後、構築したキラルなポルフィリン及びアジン骨格をリンカーユニットに持つポルフィリン二量体を触媒として利用したシクロプロパン化について検討する。同時に、ポルフィリン二量体へのスイッチング機能を持つリンカーの効率的な導入法について検討し、そのポルフィリン二量体の立体構造とその光応答特性について明らかにする。
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