研究課題/領域番号 |
15K18841
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
鍬野 哲 千葉大学, 大学院理学研究科, 特任助教 (50733531)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 極性転換 / 含窒素複素環式カルベン / 炭素環式化合物 / シクロペンテン誘導体 / 転位反応 |
研究実績の概要 |
NHCを用いる極性転換型γ付加反応を基盤とした環骨格構築法の開発を目的として研究を行い、本年度は以下の成果をあげた。 1)昨年度に見出したスルホニル基の転位を伴うシクロペンテン環構築反応について基質一般性の検討を行った。アリーリデンマロノニトリルの芳香環のオルト位に置換基を導入すると目的物が得られなかったが、メタ位及びパラ位については電子供与基、電子吸引基のいずれを導入しても良好な収率で1つのスルホニル基と2つのシアノ基を有するシクロペンテン誘導体が得られた(基質14例、最大95%収率)。 2)スルフィン酸ナトリウムを反応の開始剤に用いた実験結果と目的物の単結晶のX線結晶構造解析の結果をもとに、当初期待した極性転換型γ付加反応、Sn2’反応によるスルフィン酸イオンの予期せぬ脱離、塩基によるオレフィン部位の異性化を経る反応機構が示唆された。 3)キラルNHC触媒を用いる本反応の不斉化に着手した。キラルNHCを本反応の開始剤として用いると、不斉の誘起には至っていないものの目的物が高収率で得られた。 4)本研究の過程にて、発生させたNHCをヨウ素分子で補足すると、ハロゲン結合供与体となるルイス酸型有機分子触媒が得られた。この化合物を分子内のヨードラクトン化に用いると、目的物が高収率で得られた。 5)ハロゲン結合供与体型の有機分子触媒を種々検討したところ、マロノニトリルとN-Bocイミンとの不斉Mannich型反応において目的物に不斉が誘起された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画した通り、NHCを用いる極性転換型γ付加反応を基盤とした環骨格構築法を開発した。スルホニル基とシアノ基を有するシクロペンテン誘導体が収率よく得られており(基質14例、最大95%収率)、現在のところ概ね実施計画通りに推進している。
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今後の研究の推進方策 |
1)複素環骨格構築の検討 炭素環構築の反応条件を参考に複素環骨格の構築を検討する。含窒素複素環合成を目指して各種イミンの検討を行う。また、含酸素複素環合成を目指してアルデヒド及び電子不足ケトンを検討する。 2)不斉化の検討 キラルなNHC触媒を反応のプロモーターとし、キラルカチオンによる不斉場の制御を試みる。
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